パテントに関する専門用語
  

 No: 234   

特許出願の査定後/特許権/間接侵害/専用品

体系 権利内容
用語

専用品

意味  専用品とは物の生産にのみ用いる物及び特許発明の対象である方法の使用にのみ物です。「のみ」とは凡そその物一般がその性質上発明に係る物の生産・発明に係る方法の使用以外の他の用途に使用されない物をいいます。

内容 @特許権の本来の効力によれば、特許発明が要件A+B+Cからなる場合に全ての要件A・B・Cが一体として業として実施されていないと特許侵害となりません。例外的に特許権の付加的効力として「特許発明の実施」の予備的行為を排除しようとしていますが、その効力が徒に拡大することが無いように「のみ」の要件を課しています(特許法第101条第1、4号)。

A「のみ」の要件の意味は前述の通りであり、他の用途がたまたま特許発明の実施に使用された場合を除きます。

 この「のみ」の判断時は、特許時(或いは特許出願の時)には限定されません。特許に他の用途が発見されたということも考えられるからです。

B「他の用途」とは、単なる学術的・技術的・実験的な可能性では足りず、実用的・商業的・経済的な事実があることというと解します。経済性を無視すれば凡そ如何なる物も他の用途に使用できないということはないからです。

具体的には、ファスナーを構成するA面及びB面のうちのB面についてファスナー以外にも用途があるという当事者の主張が退けられた事例があります。→昭和45年(ワ)298(マジックファスナー事件)

C但し、使用の事実が近く確実に生ずる場合には使用事実がある場合と同一視されます。
 →昭和47年(ワ)3375号(オレフィン事件)

Dもっとも、特許品の特徴が遊んでしまうのに無理やり使用できるとする如く、特許発明の目的から歪んだ使用は対象外であると解釈されます。
 →昭和56年(ネ)603号(交換レンズ事件)

留意点  発明の「他の用途」は、本来特許出願の明細書作成段階で検討し、別の発明として成立する可能性を検討しておくべきです。一つのアイディアから別のアイディアが生まれるのは良くあるからです。最初から別のアイディアに気づけば別々に特許出願したり、複数のアイディアを一つの特許出願に含ませておき、必要に応じて分割出願することも可能です。

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