体系 |
権利内容 |
用語 |
中性品 |
意味 |
「物の生産に用いる物」又は特許の対象である「方法の使用に用いる物」であって、日本国内において広く流通しているものを除き、その発明による課題の解決に不可欠なものをいいます(特許法第101条第2、第4号)。
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内容 |
@間接侵害に関する学説では、現行の特許法第101条第2、4号が導入される平成14年改正前から特許発明の実施以外の用途が存在する製品を「中性品」と称していました。ここでは便宜的に上記第2号、第4号に掲げる対象を「中性品」と呼びます。
A「発明による課題解決に不可欠なもの」とは、それを用いることにより初めて発明の解決しようとする課題が解決されるような部品、道具、原料などを指します。
(イ)工業所有権逐条解説に挙げられた例で説明すると、消しゴムで消せるボールペンの発明の場合には、そのインクに用いられる消しゴムで消せる顔料が該当します。
(ロ)「発明による課題解決に不可欠なもの」とは、請求項に記載された発明の構成要素、すなわち発明特定事項とは異なります。
発明特定事項とは、特許出願人が自らの発明を特定するために必要で選択する事項です。
(ハ)例えば上述の消しゴムで消せるボールペンの発明を特許出願する場合には、そのボールペンを構成する軸筒、軸筒の端部を閉塞する蓋部なども、ボールペンを構成するために不可欠の要素です。しかし、消しゴムで消せるという特性と関係ないありふれた汎用品であるならば、「発明による課題解決に不可欠なもの」にはなりません。
B「日本国内において広く流通しているもの」とは、ねじ、釘、電球、トランジスター等市場において一般に入手可能な普及品を指します。
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留意点 |
間接侵害の対象となる「中性品」を理解するのに参考となるのが平成17年(ネ)第10040号です。本事例では、Xが「画面上の第1アイコンをクリックした後に、第2アイコンをクリックすると、第2アイコンの機能説明が表示されることを特徴とする情報処理装置に関する」発明の特許権を有し、これに対してYがワードプロセッサなどのソフトウェアであって「画面上のヘルプモードボタンをクリックした後、情報処理ボタンをクリックするとその機能が表示される」ものを販売しました。裁判所は、Y製品をインストールしたパソコンにおいてはXが課題解決のために採用した構成がY製品のインストールにより初めて実現するから、Y製品は課題の実現に不可欠なものに該当するとして間接侵害を適用しました。
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