体系 |
特許申請及びこれに付随する手続 |
用語 |
発明特定事項として不適切な表現とは(明確性の欠如) |
意味 |
特許請求の範囲に発明を特定するために記載する事項は、発明の外縁を明確に特定できるような表現で記載する必要があります。
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内容 |
@“発明特定事項”という概念は、平成6年の改正により、特許請求の範囲に何を記載して発明を特定するのかは、特許出願人自らが判断するべきという立場から導入されました。それでは、技術の多様性に柔軟に対応できるようにするためです。
Aしかしながら、一つの請求項から一つの発明が把握できるようにすることが請求項の記載の原則であり、発明特定事項の技術的意味を明確にするために一般的に避けるべき表現方法があります。
B「〜でない」などの否定的な記載
例えば「Aは〜するものではない」というような否定的な表現は、発明の明確性を損なうことが多く、基本的に避けるべきです。「〜を除く」などの表現も原則として同様です。
C比較対象が不明確な表現
例えば時計についての「短針及び長針」のように比較の対象がある場合はよいのですが、単独に「短い」・「長い」を用いると発明の明確性を損なう場合が多いと考えられます。
D程度があいまいな表現
例えば「〜より少し長い」、「〜よりはるかに大きい」などの表現は、特許出願の手続では基本的に避けるべきです。
E数値範囲の限界を欠く表現
例えば上限又は下限だけを示す「〜以下(或いは以上)」の表現が該当します。必須の成分に関して「0〜A%」とする場合も同様です。
F「所望により」・「必要により」・「好ましくは」などの任意的な表現
これらは、特許出願の明細書(発明の詳細な説明など)ではよく使用しますが、請求項では避けるべきです。
G明細書・図面の記載で代用する表現(「図○に示す装置」・「明細書に記載した通りの装置」など)
オムニバス・クレームという外国の記載表現ですが、日本やアメリカでは認められていません。外国の特許出願に基づく優先権を主張して我国に特許出願をする場合に、こうした表現が混入しないようにすることが必要です。
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留意点 |
Bに関して、物質を除外する「除く」クレームは化学などの分野の特許出願では普通に使用されます。
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