体系 |
特許申請及びこれに付随する手続 |
用語 |
機能的クレームとは(発明特定事項) |
意味 |
機能的クレームとは、機能的表現により発明を特定する事項をいいます。
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内容 |
@平成6年の改正により、請求の範囲には特許出願人の判断により発明を特定するのに必要な事項を記載するべきとされ、それまでには認められなかった機能的な表現も可能となりました。
Aしかしながら、特許権の保護対象は機能そのものではありません。特許出願により特定されるべき発明は、その発明の課題を達成するための手段であり、その手段こそが社会にとって有用だからです。
B機能的クレーム(請求項)としては、例えば「R受容体活性化作用を有する化合物。」や「活性Aを有するタンパク質をコードするDNA。」などが考えられます。しかしながら、こうした記載は、特許出願の発明な詳細な説明に記載した一つの又は複数の実施例を拡張ないし一般化したものであって当業者が認識できる範囲を超えないことが必要です。そうしたいと特許法第36条第6項第1号違反となります。
C他方、例えば「A酵素阻害活性を有する化合物を有効成分とする抗アレルギー剤。」というような記載であって、特許出願時の技術常識から「A酵素阻害活性を有する化合物」が特定できるのであれば、発明の外縁は明確であると言えます。しかしながら、特定した化合物の範囲で抗アレルギー剤としての効果を発揮するか否かは別の問題であり、その範囲を支えるのに必要な実施例がなければ特許法第36条第5項違反となります。
D特許出願人は、発明を特定するための事項として作用・機能・性質又は特性による表現形式を用いることができます。しかしながら特許請求の範囲を明確に記載することが容易にできるにも関わらず、ことさらに不明確あるいは不明瞭な用語を使用して記載すべきではありません。
E機能的クレームの表現が抽象的過ぎると、限定解釈される可能性があります。
(a)特に特許出願人が解決しようとする発明の課題の提示に過ぎないようなものは、限定解釈される可能性が高まります。 →機能的クレームのケーススタディ1
(b)また発明特定事項の技術的意義が一見して理解できないようなもの(発明の外延が不明確なもの)も限定解釈される可能性があります。
→機能的クレームのケーススタディ3
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留意点 |
Bに関して、過度に機能的な記載(「磁気ヘッドが下降位置にあるときは上記磁気ヘッドの回動を規制し」)を含む請求項を有する特許出願に権利が付与された場合に、特許発明の技術的範囲を限定解釈された事例があります(平成8年(ワ)第22124号)。
機能的クレーム作成の留意点全般を下記に示します。 →特許出願人が機能的クレームを作成するときの留意点
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