体系 |
実体法 |
用語 |
単なる発明の寄せ集めとは(進歩性判断のケーススタディ) |
意味 |
単なる発明の寄せ集めとは、複数の発明の組み合わせであって各発明の効果の総和を超えないものをいいます。
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内容 |
①特許出願に係る発明が単なる公知の発明の組み合わせに過ぎないときには、進歩性を肯定する特別な事情(阻害要因など)がない限り、当該発明の進歩性は否定されます。
②複数の技術を組み合わせて日常生活や産業活動に用いることは、昔から必要に応じて行われてきたことであり、特許法において独占権を付与して保護するには値しません。
③特許出願に係る発明を特定するための事項の各々が機能的又は作用的に関連しておらず、発明が各事項の単なる寄せ集めである場合、他に進歩性を推認できる根拠がない限り、その発明は当業者の通常の創作能力の発揮の範囲内であると考えられます(進歩性審査基準)。
③公知の発明の組み合わせの効果が当業者が通常予測できないものでない限り、特許出願をしても、進歩性を否定されることになります。
③具体的には、公知発明の組み合わせが各発明の効果の総和を超えない限り、進歩性を認めることができないとした事例があります(昭44(行ケ)7号)。この事例では、野球用バツトの成型加工法の発明に関して、次の技術の単なる組み合わせであるとして進歩性が否定されました。
(イ)バツトの表層に合成樹脂等を含浸させかつ加圧してバツト表層の木質を圧潰することで表層木質を固着硬化する技術”
(ロ)バツトの大径部の外周部に硬化接着剤を注入させて硬化させる方法
(ハ)バツトの大径部の任意の部分に硬化接着剤を注入させて該部を硬化させる方法
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留意点 |
②に関連して、米国の特許出願の実務では、ある特許が単に古い諸要素の組み合わせであって、各要素が実行する機能がそれまでに当該要素が実行する機能と同じであり、この種の組み合わせから期待できるであろう以上のものを生み出さないときには、その発明は自明なものであるという考え方を採っています(1976年サクライダ事件)。逆に言えば一見したところ単なる公知の要素の寄せ集めのようであっても要素が果たす機能が異なれば、単なる寄せ集めの理論は適用できません。
→アグレゲーション
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