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@属地主義の下で各国毎の方式・言語で特許出願等を行うと、同盟第1国出願と同盟第2国出願との間の時間的なズレを生じ、このズレは特許出願人に不利益を与えます。こうした問題に対応するため、第2国出願を、一定条件下で、第1国出願の時にしたものと同等に扱う効果を与える優先権制度が採用されています。
しかしながら、発明は直ちに完成されず、基本的発明に係る出願の後に改良発明や追加発明することがあります。
そこでパリ条約4条Fで、特許出願人が二以上の優先権(2以上の国でされた出願に基づくものを含む)を主張することを認めています。
A「特許出願人」という文言より、条約上で複数優先が保証されているのは、第二国出願が特許出願である場合のみであり、実用新案・意匠・商標の出願は対象外です。
もっとも発明者証出願は特許出願と同等に扱われます。
B「二以上の優先権」という文言については、物の発明と物の製造方法の発明の如く別々のクレームにそれぞれ優先権を主張する場合の他、一のクレームに対する複数の優先権の主張も可能です。
たとえば温度条件1000〜1500℃の発明に関するA国の特許出願と、温度条件1500〜2000℃の発明に係るB国の特許出願とに基づいて、温度条件1000〜2000℃の発明に係るC国の特許出願に優先権を主張するという場合です。
C「2以上の国においてされた出願を含む」としたのは、複数の第1国出願が一か国にされた場合とそうでない場合とを区別する必要がないからです。
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