内容 |
@産業上利用可能な発明をした人は、特許を受ける権利を取得し、国に対して特許出願をすることを条件として、その発明の保護を求めることができます。しかしながら、特許出願人が、その後に発明への関心を失ったり、或いは、何らかの事情で特許出願を再度行いたいと考えることがあります。また特許出願人の意思とは無関係に、法律上の要請から役所への出願の係属を解除しなければならない場合もあります。そこで法律上、特許出願の取下げが認められています。
A特許出願人は、自らの意思により、出願を取り下げることができます。
(イ)但し、共同出願の場合には、特許出願人全員でのみ取下げができます。
(ロ)委任による代理人を通じて特許出願の取下げを置こう合う場合には、特別授権が必要です(9条)。
B次の場合には、法律により、特許出願が取下げられたものとみなされます。
(イ)外国語書面出願について、特許出願の日から2月以内に外国語書面(図面を除く)の翻訳文が提出されなかった場合(36条の2第3項)。
翻訳文がなければその特許出願に対してその後の処理を行うことができないからです。
(ロ)特許出願が国内優先権の基礎とされ、その特許出願の日から1年3月を経過した場合(42条1項)。
先の特許出願の出願内容を優先権主張出願に取り込み、包括的に保護するためです。
(ハ)特許出願が実用新案登録出願又は意匠出願へ変更された場合(46条4項)。
出願形式の変更という制度趣旨から、原特許出願を維持するべきでないからです。
(ニ)特許出願の日から3年以内に審査請求がない場合(48条の3第4項)。
審査請求期間を経過したことで、もはや当該特許出願によって権利を取得することができなくなったからです。
(ホ)在外者である国際特許出願人が、国内処理基準時の属する日の後所定期間内に特許管理人を届け出なかった場合(184条の11第3項)。
C特許出願が取下げられたときには、出願の効力が失われます。また先願の地位が消滅します。
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