内容 |
①国際社会では、かつて外国人の権利能力を認めない、或いは制限的に認めるという立場の国が多くありました。これは、特許出願により取得できるパテントが強力な排他権であり、うかつに認めると自国民の活動を制限し、ひいては自国産業を外国企業に牛耳られてしまう可能性があったからです。しかしながら、その後人の交流や貿易が盛んとなると、これでは不便で仕方ない、外国人であっても保護を求める国に住所などを持ち、その国への産業発達への貢献に期待が持てるのであれば、権利能力を認めてもよいのではないか、という考え方が主流となりました(工業所有権の保護に関するパリ条約3条)。
②我国では、こうした考え方に基づき、日本国内に住所・居所を有する外国人には権利能力を認めるとともに、そこから進んで、住所・居所を有しない者でも相互主義の下で権利能力を認めるという立場をとりました。
③すなわち、上記25条中の「日本国内に住所又は居所を有しない外国人…権利を享有しない」に関連して、我国民法2条には「法令又は条約に禁止ある場合を除く他、」外国人についても権利能力を認めているため、日本国内に住所又は居所を有する外国人については当然に権利能力を認められます。
④外国人が法人である場合には、日本国内に営業所を持っていることが条件となります。
⑤日本国内に住所・居所を有しない外国人が特許に関する権利を享有する場合として次の場合があります。
(イ)その者の属する国において、日本国民に対してその国民と同一の条件により許に関する権利の共有を認めていること。
相互主義に基づき特許に関する権利(特許出願をする権利を含む)の享有を認めるためです。
(ロ)その者の属する国において、日本国がその国民に対し特許に関する権利の行使を認める場合には日本国民に対しその国民と同一の条件により特許に関する権利の共有を認めることとしているとき。
(ハ)条約に別段の定めがあるとき。
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