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@発明は、技術的思想であり、目的(課題)、構成(課題解決手段)、効果という3つの要素で成り立っています。課題が明確でも解決手段が判らない、或いは、解決手段が提案されていても目的・効果を達成できるかどうか判らないという段階で、特許出願をしても、未完成発明として拒絶査定を受ける可能性があります。未完成発明の具体例を以下に説明します。
A単なる課題の提起・願望の表明。
発明の本質である課題解決手段を全く欠いているからです。
例えば気温の変化により音色が変わる風鈴であって、音色を変化するための原理・手段が全然開示されていない場合です(旧進歩性審査基準)。
B課題を解決する手段が開示されているものの、極めて曖昧であるもの。
例えば惑星改造計画の如きものです。
C解決手段が提示されているものの、その手段では課題を解決できないもの。
例えばコースロープ用フロートのフロートに凹陥部を設けることで消波作用を奏する旨が明細書に記載されているが、凹陥部の位置・形状・大きさ等に関して何も説明がないために課題を解決できない場合です(昭49(行ケ)72号コースロープ用フロート事件)
D複数の解決手段のうちの一部が未解決なもの。
E構成が具体的に開示されていても、目的を解決すると認めるに足りる実験結果を欠いているもの。
特に化学の発明が該当します。
E用途が不明である新規物質の発明。
発明は有用なものでなければならないからです。
新規物質を創り出した時点で用途が不明であっても、後日用途が発見されたときには、その時点で発明が完成されたことになり、特許出願ができます。
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