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342 進歩性審査基準(特許出願の要件)/論理付け |
体系 |
実体法 |
用語 |
論理付け |
意味 |
進歩性判断の論理付けとは、特許出願に係る発明と主引用例との相違点を明らかにした上で、主引用例や副引用例・技術常識から、その相違点を乗り越えて上記発明にたどり着くことができたことの論理を構築することです。
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内容 |
@進歩性審査基準では、出願発明の認定、引用発明の認定を行った上で、主引用例を選び、引用発明との一致点、引用発明との相違点を明らかにし、この引用発明や他の引用発明・技術常識から出願発明に容易に至ることができることの論理付けを試みるとされています。
A新規性の要件は、特許出願に係る発明が公知・公用・文献公知に該当するか否かで判断されるのに対して、進歩性の要件は、新規性を喪失した発明から容易に発明できたか否かであり、「容易」という文言を含むために判断の難しさがあると指摘されていました。国語的な意味合いでいうと、容易か否かは個人の主観で判断するものだからです。
Bこうしたことを反映して、かつては、さまざまな観点から判断しても進歩性のあり・なしを判断しがたい場合には特許出願をどう扱うべきか(疑わしい場合の利益を特許出願人に与えるべきか)。”ということが学説上で議論されていたこともありました。
Cしかしながら、このように進歩性の判断の境界にグレーゾーンを認めて、そこに該当する場合に一律に特許しない(或はする)という扱いをすることは論理的とはいえません。
そこで進歩性審査基準では、進歩性を否定する論理付けを試み、それができなかったときには進歩性有り、できたときには進歩性なし、という立場を採用しました。
D論理付けの前提として、特許出願に係る発明に最も近い引用発明を主引用例として、一致点及び相違点を認定することが行われます。通常は、発明の課題が共通するもの、或は、技術分野が関連するものが、主引用例として、選ばれます。一般的に、発明は、従来技術の技術的な課題(コストがかかる、安全性に欠けるなど)を解決するために行われます。従って創作の出発点となる主引用例を定めることが重要です。
E引用例1+引用例2との組み合わせにより特許出願に係る発明に到達できるという場合でも、引用例1を主引例として引用例2の構成を適用するのと、引用例2を主引用例として引用例1の構成を適用するのとでは、その発明に至る動機付けや阻害要因となる事柄が相違してくるからです。
Fさらに進歩性を否定する論路付けの手法として、材料の選択や設計的事項(単なる設計的事項)、発明特定事項の置換・付加・省略などが挙げられます。一般的に、機能の変更を伴わない単なる引用発明の組み合わせは進歩性が否定される傾向にあり、形式的に副引用例の発明特定事項の技術的な意味合いが異なる場合には、進歩性が肯定される事情が潜んでいる可能性があります。
G進歩性の判断が覆る場合の多くが事実認定の誤りに起因していることが少なくありません。例えば“△△用の□□”という発明特定事項を開示する副引用例が存在する場合に、“△△用”という用途の限定が技術常識を参酌して構造の限定を意味しているのに、それを見逃してしまうような場合です。
Hさらに論理付けの主観点は、技術的な類似点におかれます。技術分野の関連性、課題の関連性、作用・機能の共通性、引用発明の内容中の示唆などです。非技術的な観点(経済的な事情による発明の長期間の不実施、発明が生まれるまでの過程)は重要視されません。 →進歩性を推認できる根拠
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