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371 進歩性審査基準(特許出願の要件)/発明の要旨 |
体系 |
実体法 |
用語 |
発明の要旨 |
意味 |
発明の要旨とは、特許出願に係る発明の特許性(新規性・進歩性など)を判断するときに使われる言葉であり、明細書に開示された具体的な発明の態様から発明の特定に必須でない事項を除外したものです。請求の範囲に記載した発明の範囲と一致します。
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内容 |
@現在の特許実務、或いは進歩性審査基準では、(特許出願の)請求項に係る発明の認定という言い方で審査対象を定めています。しかし、かつては「発明の要旨」の認定という言い方をして、特許出願について特許が付与された後の保護範囲の表現(発明の技術的範囲)と区別していました。
A発明の要旨は、特許出願人が先行技術との兼ね合いで自ら保護を求める発明の外延を明らかにするために決めるべきものです。
B新規性・進歩性審査基準で引用しているリパーゼ判決(昭和62年(行ケ)3号)では次のように述べています。
「特許出願に係る発明の新規性及び進歩性の審理にあたっては、この発明を
29条1項各号所定の発明と対比する前提として、特許出願に係る発明の要旨が認定されなければならないところ、この要旨認定は、特許請求の範囲の記載の技術的意義が一義的に明確に理解できないとか、あるいは一見してその記載が誤記であることが明細書の詳細な説明の記載に照らして明らかであるなどの特段の事情のない限り、特許請求の範囲の記載に基づいてされるべきである。」
→リパーゼ判決とは
Cすなわち、請求の範囲に発明特定事項として上位概念発明(リパーゼ)を記載しており、明細書や図面に下位概念(Raリパーゼ)が記載されている場合に、特許出願人が請求の範囲に記載されている“リパーゼ”は明細書に記載されている“Raリパーゼ”であると限定解釈して、下位概念に限定したときの発明の効果を主張することは許されません。
下位概念に限定された発明特定事項で保護を求めたければ、予めそのように請求の範囲を減縮しておけばよいからです。
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留意点 |
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