体系 |
実体法 |
用語 |
自然法則 |
意味 |
自然法則とは、一定の目的から一定の結果が導かれるという経験則をいい、特許法上の発明の定義の一部です。
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内容 |
①コーラーという学者の言によると、発明は「自然を制御し自然力を利用して一定の効果を発揮する」ものであるとされています。そして自然現象は自然法則に従いますので、自然を制御するとは、結局、自然法則を利用することを意味します(→自然法則の利用)。
例えば昭26(行ナ)12号「和文字単一電報隠語作成方法」事件では、和文字、数字及び記号を適宜組み合せて、電報用の暗号を作成する方法の発明が特許法上の保護対象ではないとして拒絶査定になった事例であり、上述のコーラーの定義を援用して、審決の当否が論じられました。裁判所は、“(本件発明は)なんら自然力を利用することもなく、単に特殊の組立による暗号を以つて思想を表現する方法にすぎない。”として審決を支持しています。
②“発明”は、科学技術が未発達であった大昔から、人間の生活を豊かにするものとして社会に寄与していました。よって自然法則は、熱力学の第1法則の如く学問書に紹介される法則に限りません。例えば“四角い物は丸い物より転がりにくい”という経験則から、転がり防止効果を有する断面多角形の鉛筆の発明が成立します。
③従って自然法則は、自然界において一定の原因から一定の結果が導かれるというものであれば足ります。
④但し、法則は自然界を支配する法則でなければなりません。
心理学の法則を用いた広告方法(柱および広告板を数個の組とし、電柱に付した拘止具により一定期間ずつ移転順回して掲示せしめ、広告効果を大ならしめようとするもの)について特許出願をして拒絶査定を受けた事例があります(昭31(行ナ)12号〔電柱広告方法事件〕)。
判決は、広告板を順回移動して広告効果を高めることに関して、“少しも自然力を利用していない。”と述べています。
⑤自然法則を利用しない場合には、特許法上の発明に該当しないものとして、特許出願が拒絶されます(→発明該当性とは)。
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留意点 |
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