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①例えば発明の本質的部分に関して自然法則についての誤った認識があり、その誤りを前提として発明が構成されているときには、他の部分で自然法則を利用しているかどうかによらず、全体として自然法則を利用するものではありません。こうした創作に関して仮に特許出願をしても拒絶査定を受けることになります。
→全体としての利用のケーススタディ
②昭和(行ナ)50号「台風抑制方法」事件では、台風の眼へ強力な電波を発射して台風を抑制する方法の発明に係る特許出願の拒絶審決が維持されました。
(イ)この台風抑制の効果を生ずる所以は、台風の眼の中には多量の水素が存在することを前提として、右電波の発射により同じく台風の眼に存する酸素と化合して水分子となることによるというにあるものと認められます。
(ロ)しかしながら、その前提自体が間違っているので、発明は成立しないというのが審決の理由です。
(ハ)特許出願人は、台風の眼に存在する水素は海面における水またはこれより生ずる水蒸気が太陽光線により分解することによつて生ずるものであると主張しましたが、認められませんでした。台風の勢いを抑制する程度の量の水素が台風の眼に存在するとは到底考えられないからです。
③この事例に示すように、自然法則に関する誤った認識というか、思い込みがあって事実と反する事柄を前提としている場合、全体として自然法則を利用するものではなく、発明として成立しません。
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