内容 |
①「自然法則」とは、一定の原因から一定の結果が導かれることの経験則を言います。一定の原因を整えると、常に一定の結果が得られることが重要であり、同一の結果が反復できないときには、発明として成立しません。
②“同一の結果”を反復することの主語は発明ですので、発明品が一度限りの使用を前提とした使い捨てのものであっても構いません。
③発明者は自然法則を正確に理解している必要はなく(→結果としての利用)、例えば要件A+Bが一定の結果を得るための必須の条件であるのに要件A+B+Cを整えると所望の結果が得られると認識していても構いません。一度だけ所望の結果が得られたのに反復できないということは、発明者が必須の条件A、Bの全てを未だ発見できておらず、たまたま最初のときにその条件が満たされたと考えられます。
④そうなると未完成発明の段階にあります。
⑤反復可能性が問題になるのは、動植物の新品種の発明です。例えば人為四倍体のクラムヨモギに自然に存在する六倍体のミブヨモギというものを交配して五倍体のヨモギをつくると、それの両親に比較すると高いサントニン含有率を示し、高温多湿に強く、生育旺盛で挿し木増殖が可能な新品種ができるという特許出願が出願公告となった事例があります。このように新品種の作り出し方が分かっている場合には問題ないのですが、偶発的に新品種ができてしまった場合には反復可能性が問題となります。
⑥なお、同一結果の反復と言っても100%の確率で反復できる必要はありません(→一定の確実性)
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