体系 |
実体法 |
用語 |
一定の確実性 |
意味 |
一定の確実性とは、発明の成立条件としての反復可能性は、一定の確率をもって反復できれば足りるということです。 →自然法則の利用
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内容 |
①同一結果を反復できる可能性が低い発明を特許出願した場合でも、一定の確率をもって同一の結果を反復できるのであれば、発明として認められ、特許査定を受けることができます。
②一定の確率をもって反復できるのであれば、失敗の可能性もコストに勘案して実施できる可能性があり(たとえば真珠貝の養殖方法)、社会に有用な技術として認めることができるからです。
③実際に真珠貝の養殖方法の発明における初期の成功率は低かったと言われていますが、改良を重ねて我国産業に重要な貢献をしています。特に動植物に関する分野では、自然法則の把握が非常に難しい場合があり、こうした発明をした特許出願人も保護しなければ酷だからです。
④「一定の確率をもって」反復できる必要があるので、発明を完成した直後の試験では成功したが、その後に別の場所・別の人間が試験した場合には全く成功例がないというような場合には、該当しません。そうした場合には、なにかしら実験条件が異なっており、その条件が発明成立にかかわる可能性が高いからです。
⑤なお、反復可能性の判断時は、特許出願時で足ります。植物の新品種の発明に関して、出願後に親品種の所在が不明になった事例に関して、反復可能性が否定されるものではないと判断された事例があります(平成10(行ツ)19号「黄桃の育種増殖法」事件)。
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留意点 |
④の場合には、未完成発明の可能性があり、失敗の原因を追究して発明の条件を見つけ、完全な形にして特許出願をするべきです。
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