パテントに関する専門用語
  

 No:  391   

用途発明/新規性進歩性審査基準/特許出願の要件

 
体系 実体法
用語

用途発明とは(意義)

意味  用途発明とは、或る物の未知の属性を発見し、この属性により、当該物が新たな用途への使用に適することを見い出すことに基づく発明をいいます(進歩性審査基準)。
未知の属性


内容 @技術開発の成果として、新規な物質を見い出しても(発見)、それがどういう用途に役立つのかが判らないという段階で特許出願をすると、発明ではないものとして拒絶査定されます。用途が定まらない段階では、それは技術として成立しておらず、有用性を欠いているからです。後日用途が判明した時点で改めて用途発明として発明性を獲得することになります。発見と発明(用途発明)との差異、すなわち用途を見い出すことは、一見して些細なことに見えても、単なる事実の発見と創作活動とを区別する重要な要素です。

A「新たな用途への使用に適する」より、未知の属性を発見しても、その技術分野の特許出願の時の技術常識を考慮して、その物の用途として新たな用途を提供したと言えなければ、発明の新規性は否定されます。発見をしても新たな用途に結びつかない場合には用途発明とは言えません(新規性進歩性審査基準)。

B下記の例では、2つの発明品の用途は、広義の意味では肌に適用する化粧料として共通しますが、狭義の意味では「保湿」と「シワ防止」という面では相違します。こうしたケースで新規性を認めた事例もあります(平成18年(行ケ)10227号)。

(イ)成分Aを有効成分とする肌の保湿用化粧料(先行発明)

(ロ)成分Aを有効成分とする肌のシワ防止用化粧料(本願発明)

 一般論としては、こうした場合には業界の技術常識が重要となり、保湿剤がシワ防止剤としても用いられることが常識である場合には、両者は区別できないと判断される可能性が高まります。

C用途発明の考え方は、物の名称や構成からその物をどのような用途に使用するのか比較的困難な技術分野に適用される。

D用途発明を特許出願する場合に、当該用途発明を請求の範囲に記載するに際して用途発明のための必須の表現方法がある訳ではありません。発明特定事項として用途が挙げられていることが特許出願の審査を担当する審査官・審判官に理解できれば足ります。
用途発明の表現形式について


留意点 Aに関して、食材として周知の澱粉を即席麺の材料に使う場合に従来品に比べて優れていなければ新たな用途の提供ではないとした例があります{→平成10年(行ケ)401(即席冷凍麺類用穀紛事件)


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