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@新規性・進歩性審査基準によれば、技術常識を参酌して認定された“刊行物に記載されているに等しい事項”を含めて引用発明の認定を行い、特許出願に係る発明の新規性や進歩性を否定することができる旨を述べています。
A従って特許出願人にとって参酌の程度や範囲を知っておくことが重要です。
Bここでは引用文献の記載に欠落がある場合を取り上げます。平成22年(行ケ)第10163号(経管栄養剤事件)では、特許出願前に公開された学術論文が主引用例とされました。主引用例には、ある商品名の栄養剤が記載されていましたが、その粘度までは記載されていませんでした。審決は、特許出願後に頒布された文献(栄養剤の製造メーカーのパンフレットの記載)を用いて上記栄養剤の粘度を認定し、進歩性を否定しました。
C裁判所は、次の理由により上記審決を支持しました。
(イ)特許法第29条第1項第3号にいう特許出願前に「頒布された刊行物に記載された発明」に基づいて容易に発明できたか否かは、特許出願当時の技術水準を基礎として、当業者が当該刊行物を見たときに、特許を受けようとする発明の内容との対比に必要な限度において、その技術的思想を実施し得る程度に技術的思想の内容が開示されていることが必要であり、それを以て足りると解するのが相当である。
(ロ)当業者が、当該刊行物の記載及び特許出願時の技術常識に基づいて、その物ないしその物と同一性のある物を入手することが可能であれば、必ずしも当該刊行物にその物の性状が具体的に開示されている必要はなく、それを以て足りるというべきである。
(ハ)発明の進歩性を判断するに当たり、上記特許出願当時の技術水準を出願後に頒布された刊行物によって認定し、これにより、進歩性の有無を判断しても、そのこと自体は、特許法第29条第2項の規定に反するものではない。
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