パテントに関する専門用語
  

 No:  414   

特許出願の要件(外国)/進歩性審査基準/MEPE

 
体系 外国の特許法・特許制度
用語

MEPE

意味  MEPE(Manual of Patent Examining)とは、アメリカ合衆国特許商標庁(USPTO)の審査官が特許出願の審査を行うための基準・便覧として用いるものです。


内容 @日本の特許庁も各種の審査基準、例えば特許出願の明細書等の記載要件の基準や、新規性・進歩性審査基準を作成しており、過去の判例をベースとした行政機関の公的解釈を公開しています。どの審査官も同じ基準で特許出願の審査を行うようにするためです。

Aアメリカで日本の審査基準のような役割を担うのがMEPEです。米国には先例拘束性の原理(doctrine of binding precedents)がありますので、MEPEの重要性は特に高いのです。現在先例として有効な判例を容易に把握できるからです。
先例拘束性の原理とは(意義)

B例えばKSR判決の後に次の文章がMEPEに援用されました。

(特許出願の請求項に係る発明の)自明性の結論を支え得る根拠の具体例は次の通りである。

(Exemplary rationales that may support a conclusion of obviousness include:)

(A) 先行技術要素を公知の態様で予期可能な結果を生ずるように組み合わせること

{Combining prior art elements according to known methods to yield predictable results }

(B) 予期可能な結果を得るために一つの要素を他の要素に単に置換すること

{Simple substitution of one known element for another to obtain predictable results }

(C)公知のテクニックを類似の装置(方法・生産物)を同様の手法で改良するために用いること

{Use of known technique to improve similar devices (methods, or products) in the same way }

(D)公知のテクニックを公知の装置(方法・生産物)に適用して予想可能な改良を達成すること。

{Applying a known technique to a known device (method, or product) ready for improvement to yield predictable results.}

(E)自明な試み−予想可能な成功の予測に基づいて、有限の数の特定された予想可能な解決方法の中から選択すること。

{“Obvious to try” – choosing from a finite number of identified, predictable solutions, with a reasonable expectation of success. }

(F)発明者が発明を試みた技術分野において公知のワークは、同じ分野又は異なる分野においてデザイン上のインセンティブや他の市場の力によって、その分野の当業者にとって予測可能な変形を促進し得る。

{Known work in one field of endeavor may prompt variations of it for use in either the same field or a different one based on design incentives or other market forces if the variations are predictable to one of ordinary skill in the art}

(G)先行技術の分野において或る教示・示唆・動機付けは、当業者が当該先行技術を変形し、或は複数の先行技術文献を組み合わせて特許出願の請求項に至ることに結びつき得る。

{Some teaching, suggestion, or motivation in the prior art that would have led one of ordinary skill to modify the prior art reference or to combine prior art reference teachings to arrive at the claimed invention.}
MEPE(進歩性関係)の内容

CさらにMEPEには主要判例を紹介するという意味の他に、判例を捕捉するという意味があります。

例えばアリス判決は、発明の特許対象性に関して、発明の主題が抽象的な概念(Abstract Idea)であるときには、そのアイディアの応用又は実施の部分に十分な発明的コンセプトがなければならないとしています。USPTO はAbstract ideaの概念について次の例示を挙げています。この例示は裁判所を拘束するものではありませんが、特許出願人はこれをみてある程度の目安をつけることができます。

 (イ)基本的な経済活動

 (ロ)人間の活動を組織するある種の方法

 (ハ)アイディアそのもの

 (ニ)数学的に表現できる関係


留意点

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