体系 |
実体法 |
用語 |
ordinary routine practice |
意味 |
Ordinary routine practice(設計変更)とは、米国特許出願の実務で非自明性(進歩性)に関して用いられる用語であって、技術者が通常の日常的な業務として技術に変更を加えることです。
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内容 |
@技術は一定の目的を達成する手段であって、日常の技術者の業務において目的に応じて既存の技術に手を加える程度のことを、関連する技術分野の常識“common sense”に基づいて自明とすることは、否定されるべきではありません。
A米国特許法では従来TSMテストを厳格に運用していましたが、こうした傾向はKSR判決により是正されました。
Bなお、MEPEによれば、早期の判決でも技術常識乃至ordinary routine practiceと考えられる特定の例を用いて自明性の判断を理由付けすることがあったとしています。
“reasoning to support a determination of obviousness based upon earlier legal precedent that had condoned the use of particular examples of what may be considered common sense or ordinary routine practic.”
CMEPEは、ordinary routine practiceの具体例として、“making integral, changes in shape, making adjustable”(一体に成形すること、形状を変化させること、調整をすること)を挙げています。
D非自明性(進歩性)の問題は、特許出願の請求項に記載された発明を全体として考慮すべきであるので、形式的にこれらの具体例に当てはまっていても、直ちに発明が自明であるとは言えません。
E例えば振動測定装置事件(713 F.2d 782)では、先行技術との相違は単に複数のパーツを一体化したことに過ぎませんでした。しかしながら、先行技術は制動を導入するもの、本件特許出願は制動を不必要にするものであり、全体としてみれば技術思想として相違するとして、裁判所は非自明性を認めています。
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留意点 |
日本の進歩性審査基準においても、“一定の課題を解決するために公知材料の中からの最適材料の選択、数値範囲の最適化又は好適化、均等物による置換、技術の具体的適用に伴う設計変更などは、当業者の通常の創作能力の発揮であり”としており、この点で米国のMEPEと同様の立場をとっています。
“技術の具体的適用に伴う”とは“適用とする用途に応じて”ということです。
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