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446
進歩性/特許出願の要件(外国)/最も合理的に広い解釈・制限 |
体系 |
実体法 |
用語 |
broadest reasonable interpretationの制限 |
意味 |
Broadest reasonable interpretation(先行技術の範囲及び内容の決定に当たっては合理的に最も広く解釈しなければならないというルール)には、明細書と一致する範囲でという制限が課されます。
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内容 |
①特許訴訟では、当事者は自らの権利範囲を広く主張しようとするため、先行技術の範囲及び内容を決定するときにも合理的に最も広く解釈すること(broadest reasonable interpretation)が妥当であると考えられます。
②しかしながら、我が国の進歩性審査基準に相当するMEPEは、“broadest reasonable interpretation”の適用において明細書と一致する範囲(consistent with the specification)という重要な制限を課しています。
③この点に関してが判断を示した事例として、IN RE KEVIN R. IMES
があります。これは、“通信網を介してデジタルカメラの画像及び映像情報に関して通信を行う装置”の発明に係る特許出願の拒絶審決の是非が争われた事件です。
(イ)特許出願の請求項1には、デジタル画像記憶用メモリと
画像表示用ディスプレイと通信要求受信用入力装置を有する電子機器であって、次の構成を有するものが記載されていました。
・第1無線通信モジュール及び第2無線通信モジュールを収容する筐体を有する。
・第1無線通信モジュールはセルラー式の通信モジュールであり、第2無線通信モジュールは低電力高速通信モジュールである。
(ハ)本事件での主な争点は、引用例が前記第2無線通信モジュールを開示しているかどうかです。
(ニ)引用例は、無線通信インターフェイス30,
連結インターフェイス及び/或いは取り外し型メモリカード35をシステム20に挿入することにより、カメラ
30がコンピュータシステム20に画像情報を送信可能なシステムを開示する。
(ホ)特許出願の審査において、審査官は、コンピュータシステム20に情報を送信する為には、取り外し型メモリカード35をカメラ30から抜き取り、コンピュータシステム20に挿入する必要と認定しました。すなわち、ワイヤを使用していないと認定したのです。
(ハ)その上で審査官は、引用例が開示する取り外し型メモリカード35は、クレーム1の前記第二無線通信モジュールを開示している、との見解を示しました。
(ニ)さらに審査官は、請求項中の“wireless”は取り外し型メモリカード35がコンピュータシステム20に挿入された状態の、取り外し型メモリカード35とコンピュータシステム20の金属接触部を介した通信も含む、として解釈しました。
(ホ)しかしながら、本件特許出願の明細書において、“wireless”は「ワイヤではなく、空間を通して、電磁波或いは音波が信号を運ぶ、通信、監視、制御システム」であると定義されていました。
(ヘ)CAFCは、上記の審査官による“wireless”のクレーム解釈は、明細書に基づいた最も広く合理的な解釈とは一致しない、と判示しました。取り外し型メモリカード35の前記金属部は、電磁波あるいは音波によって空間中で信号を運ぶことはないからです。
④MEPEで示された先例(Phillips v. AWH Corp.,)によると、辞書などの外部証拠に比べて明細書などの内部証拠はより信頼できるので、後者に基づいて先行技術を限定する解釈はBRIのルールから妥当でないとしてます。
→broadest reasonable interpretationとは
⑤そうした事情を考えると、明細書に記載された定義を無視して広い解釈を行うのは特殊であり、これを否定したCAFCの判断は妥当であると思われます。
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