体系 |
実体法 |
用語 |
broadest reasonable interpretation |
意味 |
Broadest reasonable interpretation(合理的に最も広い解釈)とは、米国特許出願の実務において非自明性(進歩性)を判断するときに先行技術の範囲及び内容を最も広く解釈することです。
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内容 |
@米国特許出願の非自明性判断の基本的なテスト(グラハムテスト)として、先行技術の範囲及び内容を決定する、先行技術と請求項に係る発明との相違点を明らかにする、当業者のレベルを確定する、ことが挙げられています。
A先行技術の範囲及び内容を決定するにあたって、MEPE(Manual of Patent Examining)は、先行技術に関して、明細書と一致する範囲(consistent with the specification)で合理的に最も広い解釈をとるべきであると定めています。
Bその具体例としてMEPEは、Phillips v. AWH Corp., 415 F.3d 1303を挙げています。
(イ)この判決において、CAFCは、辞書などの外部証拠よりも明細書などの内部証拠の方が信頼できるとして、前者に基づいて下級審が示した狭い解釈を撤回したものです。
→外部証拠(extrinsic evidence)とは
(ロ)この事件は、「防火、防音及び耐衝撃用」の安全バリア及び部屋構造のための建築モジュール」の発明に関するものであり、請求項中の次の要件のうちバッフルという用語の解釈が問題となりました。
「前記シェルの負荷支持能力を高めるために該シェルの内側に配置された、前記鋼製シェル壁から内向きに延長する鋼製内側バッフルを具える更なる手段。」
(ハ)下級審は、バッフルに関して、(1)鋼製でなければならない、(2)壁部の負荷支持手段の一部でなければならない、(3)
壁から内側に向かってなければならない、と判断しました。根拠として、その前提として、“バッファ”に関して「あるものの流れを抑制し、妨げ、又は塞ぐ物体」という辞書的な定義を採用しました。
(ニ)その上で下級審は、壁面に対して90度に配置される場合には「バッフル」でないと解釈しましたが、CAFCは、当業者が明細書およびクレームを、壁面の一つから内側に延長する構造が、鋭角もしくは鈍角である場合には「バッフル」であり、90度に配置される場合には「バッフル」でないと意味するものとの解釈には至らないという結論に達しました。
Cbroadest reasonable interpretation(BRI)には、明細書に一致することという要件が課されることに注意する必要があります。
→broadest reasonable interpretationの制限
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留意点 |
米国特許出願の審査では、BRIのルールの下で特許出願人が予期し得ないような先行技術が引用例として引かれることがあります。こうした場合には、上記Cに基づいて審査官の解釈が妥当かどうかを検討することが必要です。
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