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476 特許出願の要件/新規性/公然/不特定人 |
体系 |
実体法 |
用語 |
秘密保持義務 |
意味 |
秘密保持義務とは、一般に、発明者のために秘密を保持する義務をいいます。
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内容 |
@特許出願が許可される要件として発明の新規性があります。具体的には、特許出願のときに当該発明が公然と知られていないことなどが要求されており、秘密保持義務を有しない者(→不特定人)が一人でも発明を知れば、公然性が成立します。
Aなお、不正競争防止法では、「営業秘密」(同法2条6項)を保有する事業者から営業秘密を示された場合に、不正の利益を得る目的又はその事業者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用又は開示する行為を、不正競争として規制しています(同法2条1項7号)。しかしながら、ここで説明しようとする秘密保持義務は、特許要件に関わる問題であり、不正競争防止法から生ずる義務とは別の問題です。
Bいわゆる「守秘義務」(一定の職業や職務に従事する者・従事した者・契約をした者に対して、法律の規定に基づいて特別に課せられた義務)とは異なり、特許法上の秘密保持義務は、「職務上知った秘密」には限られません。
例えば出願人(発明者)の家族同然の者(発明者を養父として養育されていた子供)が発明の内容を知っただけでは公然に該当しないとした事例があります〔昭和19年(オ)第704号「中空助燃器」事件〕。
Cまた公的機関への入札のために会社を経て装置の図面を提出されたこと(公的機関は装置を採用せず)だけを以て公知とあったとは言えないとする事例があります。その状況の下では“多数不特定”の人間が発明を認識する状態とはならないと解釈されたからです。
〔昭16(オ)1150号「伸縮自在の運び紐の構造」〕。
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留意点 |
Cに関して、“多数不特定”のうち“多数”は、現時点では必ずしも公然性の要件とはならないと考えられます。
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