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 パテントに関する専門用語
  

 No:  477   

進歩性/特許出願の要件/拒絶理由

 
体系 実体法
用語

進歩性欠如の拒絶理由通知への対応

意味  特許出願の請求項に係る発明が進歩性を欠いている旨の拒絶理由通知への対応に関して解説します。


内容 @一般に拒絶理由通知を受理した後の特許出願の流れとしては、(A)意見書・補正書の提出、(B)分割出願を行う、(C)出願変更を行う…などがありますが、ここでは一般的な対応である(A)に関して説明します。

A拒絶理由通知の見方

(a)同一の請求項に関して新規性+進歩性の形で拒絶理由がでているかどうか。

 一般に進歩性がないという拒絶理由通知が出されているときには、“困った。大変だ。”と思うのではなく、“少なくとも新規性は認められた。”と考えた方が、心を落ち着けて次の対応策(補正など)を練ることができます。

 しかしながら、審査官によっては同一の請求項に対して同一の引用例に基づいて新規性及び進歩性の両方で拒絶理由通知を出すことがあります。これは、新規性だけでも特許出願を拒絶できるが、念のために進歩性でも拒絶理由を出しておく、という趣旨ですので、進歩性だけのときよりも審査官による発明の評価は低いということになります。

(b)備考の欄で“設計的事項”とか“単なる設計変更”という言葉が使われていか否か。

 審査官は、経験的に技術的要素の大きさや数の調節など、技術者が事情に応じて臨機応変に行う変更に関してこれらの用語を使います。これらの言葉が使われているときには、審査官による評価が低いということになります。

(c)備考の欄で、主引用例との一致点・相違点を分析しているかどうか。

 進歩性審査基準では、進歩性の判断手法として、

(イ)特許出願の請求項に係る発明と主引用例との一致点、

(ロ)両者の相違点、

(ハ)相違点に係る技術を開示する副引用例の存在、

(ニ)副引用例を主引用例に適用することの動機つけ

という順序で進歩性がないと論理付けることを審査官に求めています。審査官は、必ずしも自分の論理付けを拒絶理由通知に記載する必要はありません。しかし、通常は少なくとも(イ)・(ロ)程度は記載してあるものですし、それを書いていない場合には、論理付けが大雑把になっている可能性があります。

A拒絶理由通知を検討した後、特許出願人は例えば次のように対応できます。

(a)引用文献の構成を変更することの動機付けの欠如を指摘して反論する。

(b)引用文献の構成を変更することに阻害要因がある旨を指摘して反論する。

(c)引用発明にない有利な効果を主張して反論する。

B注意点

(a)特許出願人は、請求項に記載した構成に基づかない主張をするべきではありません。

(b)特許出願人は、意見書に記載した陳述や意見が後の特許訴訟で自らの主張を制限する手段として使われる可能性を考慮するべきです(包袋禁反言)。

(イ)従って、拒絶理由の回避に必要のない意見や見解は基本的に意見書に書く必要はありません。

(ロ)例えば特許出願の請求項に係る発明(要件A+B+C+D)に関して、引用発明との一致点がA・Bで相違点がC・Dであると審査官が認定している事例を想定します。特許出願人が引用例との相違点をCとして、主張しようとします。この場合、

 意見書で“たしかに要件A、Bは一致しているが、要件Cは相違している。”旨を述べたとすると、“たしかに要件A、Bは一致している”旨の陳述は不要な部分です。

 意見書を書いている人が“一致している”と認識しても、別の人間が見ると、議論の余地があるかもしれないからです。

単に“要件Cは相違している”というだけで、拒絶理由が解消できるのに余分なことをいう必要はないからです。

構成要件の相違だけでなく、効果の相違に関しても同様のことがいえます。

(ハ)さらに上述の事例で要件Cによる作用効果を強調しようとするあまり、“要件Cは本発明の本質的要件であって…”ということがあります。これも拒絶理由の回避に必要がなければわざわざ意見書で言う必要がありません。


留意点

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