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482
進歩性(特許出願の要件)/客体的基準/事実に反する事柄 |
体系 |
実体法 |
用語 |
事実に反する事柄(進歩性) |
意味 |
事実に反する事柄を含む先行技術文献の引用文献適格性について説明します。
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内容 |
@発明は、自然法則を利用して自然力をコントロールして所要の目的・効果を達成するものであり、自然法則に関する間違った認識があれば発明として成立しようがありません。従って事実に反する事柄は、基本的に特許出願に係る発明の進歩性を否定する根拠とするべきではありません。
A例えば引用文献の記載が当業者の技術常識に反するような事柄である場合には、当然に進歩性判断の基礎とすることができません。
B進歩性の判断の実務において、“事実に反する事柄”が争点となり易いのが、自然法則に関して世俗的に信じられているが事実ではない事柄(いわゆる俗説)です。
例えば“表面の粗度(真の表面積の幾何学的表面積に対する比率)を大きくすれば接着力が大きくなる”という俗説に基づく引用文献に基づいて進歩性を否定した原審決を覆した事例があります。→昭44(行ケ)84号「接着用銅材料の表面処理法」事件
Cもっとも、事実に反する事柄であっても、それが単なる誤記であり、技術常識を参酌して本来の正しい事柄を当業者が容易に知り得るようなことがあります。こうした場合には進歩性を否定する根拠とすることができます。
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留意点 |
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