[判決言い渡し日] |
1966年2月21日 |
[発明の名称] |
電池 |
[主要論点] |
事例6Aで阻害要因には3つの型があると述べましたが、本件ではそのうちの①の型(開示された構成に従うことを思い留まらせる記載がある場合)及び3の型(引用文献に記載された構成により作動不可能となる場合)の要因に関するものです。 具体的には、電池の電極の材料として或る素材を選択するに際して、その材料を採用することに否定的な記載が引用文献にあった、記載を無視して実験をしたところ、失敗例に終わったという事例です。 |
[判例の要点] |
古い技術の欠点は新たな発明のためにこれを調査する意欲を阻害します。
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[本件へのあてはめ] |
従来、マグネシウムは理論的に電極として利用し得ると知られるに留まり、文献通りに実施すると発火等の危険があります。また先行技術を本発明の如く結合する為には長年受け入れられてきた複数の常識を無視する必要があり、容易になし得ません。
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[先の関連判決] |
383 U.S. 1 (グラハム判決) |
[後の関連判決] |
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[判決言い渡し日] |
1983年11月14日 |
[発明の名称] |
多孔性物の製造プロセス |
[主要論点] |
事例6Aで阻害要因には3つの型があると述べましたが、本件ではそのうちの①の型(引用例の構成に従うことを思い留まらせる記載がある場合)及び②の型(目的に反する方向へ導かれる型)の要因に関するものです。 |
[判例の要点] |
先行技術はクレームに係る発明から遠ざかる部分(阻害要因)を含めて全体として考慮しなければなりません。
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[本件へのあてはめ] |
本発明は、成形された未焼成で高度に結晶化したポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を毎秒10%以上の速度で5倍以上に延伸することによって多孔性製品を製造するプロセスに関するものです。 先行技術として、未焼成のPTFEに関して、PTFEは従来のプラスチックのプロセスに反応せずゆっくり延伸されるべきこと述べている引用例、及び、プラスチックである低結晶のポリマーを高速延伸することを開示している引用例が存在します。 これらの引用例を組み合わせるとしても、発明から遠ざかる引例の開示(例えばポリプロピレンは延伸前に結晶度を低下させるべき旨の開示及びPTFEはゆっくり延伸されるべき旨の開示)を考慮すると、高結晶性のPTFEを高速延伸することを示唆しておらず、本発明に容易に到達することは困難であります。 |
[先の関連判決] |
383 U.S. 39[U.S. v Adams](→技術常識の参酌) |
[後の関連判決] |
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[判決言い渡し日] |
平成25年5月16日 |
[発明の名称] |
移動通信システムにおける予め設定された長さのインジケータを用いてパケットデータを送受信する方法及び装置 |
[主要論点] |
技術標準のために予め定められた条件(FRAND条件)で取消不能なライセンスを許諾する宣言(FRAND宣言)をした特許に関しては、信義則・権利濫用理論などに基づいて特許権の行使(主に差止請求権の行使)を制限するべきという意見が国内外において多くみられます。 本件はFRAND宣言がされた特許に基づく損害賠償請求権の行使の是非が問題となっています。 |
[判例の要点] |
① FRAND宣言をした特許に基づいて、そのライセンスを受けたい旨の申出をした者に、FRAND条件のライセンス料を超えて損害賠償を請求すると、権利の濫用となります。 ② 申出をした者が特許の有効性を争っても申出の意思がないとは言えません。 |
[本件へのあてはめ] |
控訴人(特許権者)が請求する損害賠償額のうちFRAND条件でのライセンス料を超える部分は認められません。
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[先の関連判決] |
[後の関連判決] |
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[判決言い渡し日] |
平10(行ケ)401号(I) |
[発明の名称] |
即席冷凍麺類用穀紛事件 |
[主要論点] |
用途発明が未発明か否か |
[判例の要点] |
用途発明は、既知の物質のある未知の属性を発見し、この属性により、当該物質が新たな用途への使用に適することを見いだしたことに基づく発明であると解すべきである。 |
[本件へのあてはめ] |
先行技術は、既存の技術に比べて劣ったものでしかなく、新たな用途を生じない。 |
[先の関連判決] |
[後の関連判決] |
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[判決言い渡し日] |
昭和32年5月21日 |
[発明の名称] |
温血動物に対し毒性の少ない殺虫剤 |
[主要論点] |
いわゆる選択発明に関して進歩性が認められるか否か |
[判例の要点] |
本件発明の構成がA+b、引用例の発明の構成がA+Bであって、Bはbの上位概念であり、かつ発明特定事項を下位概念化しても引用例の効果が本件発明に残っている場合であっても、引用例に記載されていない課題に結び付く顕著な効果を本件発明が発揮する場合には進歩性を認められます。 |
[本件へのあてはめ] |
引用例は、有機燐酸エステルの製法に関するものであり、その効果として、殺虫作用、殺齧歯類作用、殺菌作用を奏するものであり、本件発明の発明特定事項の上位概念を開示しているが、人間に対する毒性が低いという課題及び効果に言及していないから、本件発明の進歩性を否定するものではありません。 |
[先の関連判決] |
[後の関連判決] |
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[判決言い渡し日] |
昭和32年5月21日 |
[発明の名称] |
放射線遮断方法 |
[主要論点] |
同日にした物の発明の特許出願と方法の発明の特許出願とについて発明のカテゴリーの相違を超えて同一発明と認定し、先願主義の規定を適用した事例 |
[判例の要点] |
方法とは、一定の目的に向けられた系列的に関連のある数個の行為または現象によって成立するもので、必然的に経時的な要素を包含するものと解すべきです。 |
[本件へのあてはめ] |
方法は経時的要素を包含するものと解すべきところ、本件発明は格別方法を開示していないから、“技術的内容について同一性を有する2つのアイディアを、一方は方法として表現し、他方は物の方法として表現したから異なる発明として特許するべき”という原告の主張は採用できません。 |
[先の関連判決] |
[後の関連判決] |
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[判決言い渡し日] |
平成11年 7月16日 |
[発明の名称] |
生理活性物質測定法 |
[主要論点] |
物を生産する工程の一部として単純方法の発明が組み込まれている場合に単純方法の発明を物を生産する方法と同視することの是非。 |
[判例の要点] |
方法の発明と物を生産する方法の発明とは、明文上判然と区別され、与えられる特許権の効力も明確に異なっているのであるから、方法の発明と物を生産する方法の発明とを同視することはできない |
[本件へのあてはめ] |
本件明細書の特許請求の範囲には、カリクレイン生成阻害能の測定法が記載されているのであるから、本件発明が物を生産する方法の発明ではなく、方法の発明であることは明らかである。 |
[先の関連判決] |
[後の関連判決] |
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[判決言い渡し日] |
平成16年8月17日 |
[発明の名称] |
切削オーバーレイ工法 |
[主要論点] |
既存の舗装道路の補修のための方法が、舗装道路を生産する方法といえるか。 |
[判例の要点] |
発明の対象が単純方法か物を生産する方法かの判断は、特許請求の範囲に記載に基づいて判断すべきところ、当該記載から物の生産を伴わないと判断される方法は、物を生産する方法とは言えない。 |
[本件へのあてはめ] |
特許請求の範囲の記載よれば、本件発明の対象は「マンホール枠を含む舗装の切削オーバーレイ工法」であるから、物を生産する方法の発明ではない。 |
[先の関連判決] |
平成10年(オ)第604号 |
[後の関連判決] |
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[判決言い渡し日] |
平成21年11月26日 |
[発明の名称] |
記録媒体の駆動用モータ |
[主要論点] |
ウェブサイト上の商品の紹介が譲渡の申出に該当するか否か。 |
[判例の要点] |
譲渡の申出の意図を裏付ける何等かのアクションがなければ、譲渡の申出をしたとは認められない。 |
[本件へのあてはめ] |
被告のウェブサイトには、目的の商品に関するページが存在しているものの、モータの定格電流,定格電圧,騒音及び振動が示されているにすぎず,同モータの他の具体的な仕様については何ら示されていないのであり,また問合せフォームにもリンクしていないから、譲渡の申出に該当するとは認められない。 |
[先の関連判決] |
平成10年(オ)第604号 |
[後の関連判決] |
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[判決言い渡し日] |
平成19年11月8日 |
[発明の名称] |
液体収納容器など |
[主要論点] |
特許権者から購入した特許製品を加工・部品交換してリサイクルした場合に特許権の効力が及ぶか否か(用尽) |
[判例の要点] |
特許権者から購入した特許製品を加工・部品交換して同一性を欠く特許製品を製造したことになる場合には、特許権者はその物に対して特許権を行使することが許されます。 |
[本件へのあてはめ] |
特許権者が譲渡したインクタンク本体が使用済となった後にこれを利用して製品化したときには、特許権の効力が制限されるものではありません。 |
[先の関連判決] |
[後の関連判決] |
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[判決言い渡し日] |
昭和51年4月27日 |
[発明の名称] |
麻雀ルールによって遊戯する球弾遊戯具事件 |
[主要論点] |
未完成発明及び共同発明の解釈 |
[判例の要点] |
法律上の発明は技術的思想の創作ですが、その創作は単なる着想では足りず、機械の発明において、ある技術的事項について得た着想が具体的な形態をとった機械として実現し得ないときには未完成です。その着想に基づいて機械を試作して着想の可否を検討することは発明成立の一過程であり、数人が共同してこうした行為を行ったときには、共同発明と考えられます。 |
[本件へのあてはめ] |
Xは、“パチンコ遊戯機に麻雀の上り手を組入れ、麻雀牌の模様を縦横に規則的に配列した表示部の表示を落下する打球により行わせ、一定の上り手を表出させる”という着想を得ましたが、その具体化にあたっては、Yと共同して実現したものであるから、X及びYが共同して発明をしたものと認められます。 |
[先の関連判決] |
[後の関連判決] |
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[判決言い渡し日] |
平成21年11月26日 |
[発明の名称] |
紙葉類識別装置の光学検出部 |
[主要論点] |
進歩性判断における複数の相違点の評価 |
[判例の要点] |
複数の相違点を超えて本件構成に至ることの困難性を判断するときには、相違点相互の関係を考慮すべきです。ある思想が存在しない引用例に、その思想を前提としない公知技術を適用することは、適切な動機付けなしに単なる設計変更と認めるべきではありません。そして単に技術分野が共通しているというだけでは動機付けというには足りません。 |
[本件へのあてはめ] |
相違点3(紙葉類識別装置と紙葉類の積層状態検知装置との相違)と相違点1(検知ラインが複数本か1本かの相違)とは相互に関連しており、複数本の検出ラインの思想を前提として一対の発光・受光素子によって一括して行うという相違点1及び3の構成を付加することは、単なる設計変更とは言えない。また技術分野が近似していると言っても、紙葉類識別装置と紙葉類の積層状態検知装置とは機能・作用その他具体的技術において異なるのだから後者を前者に置き換える動機付けとしては足りない。 |
[先の関連判決] |
[後の関連判決] |
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[判決言い渡し日] |
平成12年4月11日 |
[発明の名称] |
半導体装置 |
[主要論点] |
このレポートでは本件判決のうち特許無効理由の存在に基づく権利の濫用に関する部分を紹介します。他の論点に関しては別にレポートを作成します。 |
[判例の要点] |
特許の無効審決が確定する以前でも、特許権侵害訴訟を審理する裁判所は、特許に無効理由が存在することが明らかであるか否かを判断することができ、審理の結果、当該特許に無効理由が存在することが明らかであるときは、その特許権に基づく差止め・損害賠償等の請求は、特段の事情がない限り、権利の濫用に当たり許されません。 |
[本件へのあてはめ] |
本件特許出願は分割出願として不適法であり、特許法第39条第1項(先願主義違反)に該当する蓋然性が高い出願であるから、本件特許出願に係る特許には無効理由が存在することが明らかであり、かつ訂正審判の請求がされているなど特段の事情を認めるに足りないから、本件特許権に基づく損害賠償請求が権利の濫用に当たり許されません。 |
[関連法令] |
このキルビー判決を踏まえて、平成16年の改正により特許法第104条の3(特許権者等の効力の制限)が導入されました。 |
[先の関連判決] |
平成6年(ネ)第3790号 キルビー判決控訴審 |
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[判決言い渡し日] |
1983年7月21日 |
[発明の名称] |
振動測定装置(ウィールバランサ) |
[主要論点] |
発明の進歩性を審査するときには先行技術との相違点を認定しますが、相違点だけを見ると設計変更と思われる場合に注意すべき事項が論じされています。
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[判例の要点] |
非自明の相違点に対する強調は一つの問いかけに過ぎず、進歩性の判断の本質ではありません(Emphasis on non-obvious is one of inquiry, not quality)。発明は全体として考慮されなければならない(An invention be considered “As a Whole”)と考えられます。 |
[本件へのあてはめ] |
本件発明は、先行技術との相違点だけに着目すると、単に複数のパーツからなる構成を一体の構成にするだけのものに過ぎません。しかしながら、本件発明の構成は制動の必要(need for damping)を無くするもの、他方、先行技術の構成は制動を導入するためのものであり、制動が必要という従来の常識を鑑みれば、当業者にとって自明ではありません。 |
[先の関連判決] |
383 U.S. 39[U.S. v Adams](アイディアが或る技術分野の先行技術の理解及び予測と反対である場合には、それは当該分野の当業者にとって自明ではない) |
[後の関連判決] |
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[判決言い渡し日] |
昭和48年2月27日 |
[発明の名称] |
接着用銅材料の表面処理法事件 |
[主要論点] |
発明の進歩性を否定する根拠となる命題の範囲 |
[判例の要点] |
引用例記載の命題が真実に反しており、かつそのことが本願出願前当業者間に周知であつたとすれば、それは進歩性を否定する論理付けの根拠として採用することができない。 |
[本件へのあてはめ] |
表面の粗度(真の表面積の幾何学的表面積に対する比率)を大きくすれば接着力が大きくなるという命題は真実ではないから、本発明の進歩性を否定することができません。 |
[先の関連判決] |
[後の関連判決] |
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[判決言い渡し日] |
昭和60年12月10日 |
[発明の名称] |
粉末圧縮成形機 |
[主要論点] |
訂正審判において訂正後の発明の容易想到性(進歩性を欠くこと)を判断するときの発明の技術分野の解釈 |
[判例の要点] |
2つの引用文献に開示された発明の目的が同じで発明の原理が同じであることは、発明の技術分野の一致性を認める根拠となる。 |
[本件へのあてはめ] |
引用例1の錠剤製造機も引用例2の煉瓦成形機も、その目的は粉末を圧縮して成形品を得るものであり、そのために金型へ入れる成形用粉末材料の容積を調整することによって成形品の重量を調整する技術手段をもつから技術分野が一致する。 |
[先の関連判決] |
[後の関連判決] |
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[判決言い渡し日] |
平成21年11月26日 |
[発明の名称] |
回路用接続部材 |
[主要論点] |
進歩性判断における事後分析(後知恵)の排除 |
[判例の要点] |
①発明の特徴点(先行技術と相違する構成)は,発明の課題解決のためのものであるから,容易想到性の有無を客観的に判断するためには,出願発明の課題を的確に把握することが必要不可欠です。 ②容易想到性の判断の過程においては,事後分析的かつ非論理的思考は排除されなければなりませんが,そのためには,当該発明の「課題」の把握に当たって,その中に無意識的に「解決手段」ないし「解決結果」の要素が入り込むことがないよう留意することが必要となります。 ③発明が容易想到であると判断するためには,先行技術の内容の検討に当たっても,発明の特徴点に到達できる試みをしたであろうという推測が成り立つのみでは十分ではなく,当該発明の特徴点に到達するためにした筈であるという示唆等が存在することが必要です。 |
[本件へのあてはめ] |
引用例には「フェノキシ樹脂は・・エポキシ樹脂と構造が似ていることから相溶性が良く,また接着性も良好な特徴を有する」と記載されており、審決はこの記載から,“さらに構造の似たもの同士であれば,相溶性,接着性が良くなるであろうことは,容易に想到し得たことである”としましたが、引用例には相溶性が良く,また接着性も良好な特徴を有する」と記載されており,格別,相溶性や接着性に問題があるとの記載はなく、本発明の特徴点に構成に到達した筈である示唆は存在しません。 |
[先の関連判決] |
[後の関連判決] |
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[判決言い渡し日] |
平成11年2月10日 |
[発明の名称] |
ロボットを備えた箱処理装置 |
[主要論点] |
進歩性の判断における発明に至ることを妨げる事情(阻害要因)の評価 |
[判例の要点] |
先行技術文献中に一見したところ進歩性を否定する論理を妨げる事情があっても他の観点から論理付けが可能であるときには当該文献は引用文献としての適格性を有します。 |
[本件へのあてはめ] |
ロボットを用いて複数の作業を行う生産ラインにおいて作業の取捨選択や作業の順序をどうするのかは適宜選択できる事項に過ぎないから、箱詰ロボットと積載ロボットとの間に自動梱包機が存在して箱詰ロボットと積載ロボットとが空間的に離れていることは、箱詰ロボットと積載ロボットとを2つの作業を行う一つのロボットとして合体させることの阻害要因とはなりません。 |
[先の関連判決] |
[後の関連判決] |
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[判決言い渡し日] |
平成10年11月26日 |
[発明の名称] |
窒素化合物半導体結晶膜の成長方法 |
[主要論点] |
進歩性の判断において、発明の課題が長期間要望されていながら不実施であった事実に基づいて創作の困難性が認められた事例です。 本件発明は、いわゆる青色発光ダイオードの量産に結び付いた発明です。 |
[判例の要点] |
発明の課題が長期間要望されていながら不実施だった事実は、発明が進歩性を有すると推認する根拠となります。 |
[本件へのあてはめ] |
本件発明によれば、結晶性の良い状態で成長させるのが極めて難しいとされる窒素化合物等の半導体結晶膜を、優れた結晶状態に成長できる、という引用例にはない作用効果を発揮するので、進歩性を認めるべきです。 |
[先の関連判決] |
[後の関連判決] |
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[判決言い渡し日] |
平成25年8月9日 |
[発明の名称] |
スロットマシン |
[主要論点] |
新規性・進歩性の判断において、或る技術文献に特定の先行技術が記載されているか否か、或いは記載されている等しいか否かの認定について論じられました。 |
[判例の要点] |
ある技術が特定の技術に記載されている(記載されているに等しいことを含む)というためには、当該技術に関して具体的な記載があるか示唆がなければなりません。 |
[本件へのあてはめ] |
問題となった刊行物には、2以上の初期化条件に関して、当該条件の種類に対応して初期化領域条件に設定された初期化開始アドレスと、これら初期化条件に共通する初期化終了アドレスとを設定することに関して、各先行技術文献には開示も示唆もありません。 |
[先の関連判決] |
[後の関連判決] |
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