内容 |
①行政事件訴訟法は、行政事件に対する一般法であって、行政処分又は行政機関の公権力の行使を不服とする国民を事後的に救済する規定です。
②例えば特許出願の却下などを含む手続の却下(特許法18条、18条の2など)、外国特許特許出願のための優先権証明書など各種の証明等の請求(特許法第186条)の却下、通常実施権の設定の裁定(特許法第83条など)又は裁定の取消(同90条)などが該当します。
③但し、行政不服審査法による異議申立又は審査請求を経た後でなければ訴えを提起することができません(特許法第184条の3)。
これは、行政機関に対して反省の機会を与えつつ、裁判所の負担を軽減するためです。
(a)ここでいう異議申立又は審査請求とは、公衆に特許の是非に対する意見開陳の機会を与える特許異議申立、或いは特許出願に対して実体審査を求める出願審査請求とは全く異なる手続であり、行政処分に対する救済を行政機関(処分庁又は処分庁の上級機関)に求めるものです。
④取消の訴えの対象となる処分の範囲(処分性)
(a)行訴法第3条第2項の「行政庁の処分又はその他の公権力の行使」に関しては、判例によると、「公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち、その行為によって、国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが認められている行為」に限って取消訴訟の処分性が肯定されます。
従って特許権の効力範囲に関して判定の請求を行い、判定の結果に不服があっても取消の訴えの対象とはなりません。一見すると権利の範囲を確定する行為に見えますが、実際には一種の鑑定サービスに過ぎず、権利の範囲の確認に過ぎない(なんら国民の権利義務を形成するものでない)と解釈されるからです。
→判定とは
(b)また特許出願人が事情説明書を提出して特許出願に対して早期審査を求めたのに対して、特許庁が早期審査の必要はないと判断したとしても、その判断は訴えの対象にはなりません。
いずれ審査が行われることに変わりはなく、特許出願の審査の順番は行政機関の裁量の範囲と考えられるからです。
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