体系 |
実体法 |
用語 |
commercial success(商業的成功)のケーススタディ2〔Nexusの存在〕 |
意味 |
特許出願でクレームされた発明の自明性に関して、特許出願の審査或いは特許訴訟の審理において先行技術が挙げられたときに、当該発明品のCommercial
success(商業的成功)を主張して反論することがありますが、その発明のメリットと商業的成功との間の関係性(Nexus)が存在することが必要です。特許出願人は、本来の発明の主題に関連する副次的な特徴を下位の請求項に挙げることがありますが、ここではそうした下位の請求項のみが商業的成功に関係している場合に関してケーススタディします。
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内容 |
紹介事例:
776 F.2d 309
事件の種類:
特許無効及び非侵害確認訴訟
発明の名称:
ペンアーム付き一体型ペン器具
発明の内容:
〔技術分野〕
記録用マーカー器具として有用なペンであり、ペン本体とペン本体に対して一体にヒンジ連結した部材(被連結部材)との間にペンアームを挟んてクリップ留めすることができるに対して転写マークラベル等として用いる自動貼付等を容易にした転写シートに関するもの。
〔請求項1〕
インク貯蔵部を含むペン本体+ペン本体に受持されるペン先+ペン本体にヒンジ連結され、ペン本体との間にペンアームを挟持することができる被連結部材
〔請求項4〕
ペン本体は使い捨て可能である。
本件発明と先行技術との相違:
主たる引用文献はペンアームに対する固定手段として、金属製のアタッチメント用クリップを採用しているのに対して、本件発明は、一体ヒンジを採用している点。
商業的成功に至る経緯:
(a)特許権者は、まず請求項1〜3に係る構成のペン(非使い捨てペン)を市場に投入したが市場の反応は冷淡であった。
(b)次に請求項4に係る構成のペン(使い捨てペン)を投入したところ、売れ行きは非常に好調であった。
(c)その結果として、1980年から1983年の間に特許権者の製品の市場シェアは残りの事業者のそれの総和の約2倍に増加した。
(d)その間に特許権者は積極的な広告活動を展開していた。
発明の内容:
一体ヒンジを含む使い捨てのペンに係る請求項4の構成が商業的な成功に至ったとしても、発明のメリットと商業的成功との間にnexus(関係性)を認めるには至らない。
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留意点 |
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