体系 |
特許申請及びこれに付随する手続 |
用語 |
特許出願の実体補正 |
意義 |
特許出願の実体補正とは、特許出願の内容のうち実体的要件に関わる内容を補充・訂正することをいいます。
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内容 |
①特許出願の実体補正を認める意味
特許出願は、新規性・進歩性などの一定の要件を具備することを理由として、特許査定となり、独占排他権を付与されます。しかしながら、特許出願当初の記載では、それらの要件に適合しなくても、当初の開示事項を超えない範囲で記載を手直しして要件に適合するのであれば、それを認めないのは、発明の保護(特許法第1条)に欠け、特許出願人に酷であります。そこで一定の範囲で特許出願の実体的補正を認めています。
②特許出願の実体補正の主体
(a)特許出願が共同出願であるときには、各特許出願人が補正をすることができます。特許出願の書類の補正は不利益行為でないと考えられているからです。
(b)もっとも各特許出願人が勝手に補正をしては困るというときには、予め特許出願人全員の代表者を定め、特許庁に届ければよいです。そうすれば補正が出来るのは当該代表者のみです(特許法第14条)。
→複数当事者の相互代表とは
③特許出願の実体補正の客体
(a)請求の範囲
(イ)特許出願人は、請求の範囲を補正することができます。例えば進歩性欠如の拒絶理由通知に対して、請求項を削除したり、請求項を減縮することができます。
(ロ)但し、拒絶理由通知を受けた後において、特許請求の範囲の内容を審査官が判断した請求項と単一性のない発明へシフトすることは禁止されています(特許法第17条の2第4項)。
→シフト補正の禁止とは(特許出願の)
(ハ)さらに最後の拒絶理由通知を受けた場合等においては特許請求の範囲の補正の目的が制限されます(特許法第17条の2第4項)。
→特許請求の範囲の補正の目的の制限とは(特許出願の)
(b)明細書
特許出願人は、明細書を補正することができます。例えば請求の範囲の補正と整合性を担保するための補正をすることができます。
(c)図面の補正
例えば図面に不備があったような場合に、特許出願人は図面を補正することができます。
(d)要約書の補正
例えば要約書に技術的な誤りがあるような場合、特許出願人は要約書を補正することができます。
③特許出願の実体補正の時期
(a)要約書に関しては、原則として特許出願の日から1年3月以内に補正をすることができます。要約書は、技術情報のアクセスを容易とするためのものであり、当該特許出願に関して出願公開が行われた後に要約書を補正しても意味がないからです。
(b)要約書以外の特許出願の書類に関しては、原則として当該特許出願が特許庁に係属している限りにおいて、補正をすることができます。但し、当該特許出願に関して拒絶理由通知をうけたときには下記の場合に限り補正をすることができます(特許法第17条の2第1項)。
・特許出願人が意見書を提出できる期間
・特許出願人が拒絶査定不服審判を請求する場合に当該請求の日から30日以内
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留意点 |
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