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@特許出願のシフト補正の禁止の意義
(a)特許出願人は、当初には保護を求める発明の範囲をできるだけ広く設定したいと考えるものですが、非常に広い請求項1にぶら下がる(従属する)多数の請求項を設けた結果として、請求項1の発明が先行技術に対して新規性を有しないものとなってしまったときには困った問題が生じます。
(b)特許庁としては、そうした過剰に広い保護範囲には付き合い切れませんので(∵審査請求料に見合う範囲を超えて審査の負担が増大することになるので)、請求項1に従属する請求項の全てを審査するのではなく、先行技術に対して技術的な貢献〔Specific
Technical
Feature(以下、STFという)〕を有する発明を含む請求項のグループ(当該請求項及びその従属項)に限定するのです。
(c)特許庁の立場としては、本来、そうした請求項のグループの範囲で特許出願をするべきだったからです。ここでSTFとは、おおよそ新規性の要件を超えるが、進歩性の要件のレベルには足りないという程度の意味です。
(d)その場合、特許出願人が、審査官の審査が行われた請求項のグループルとの別の内容の請求項を残して、他の請求項を削除することができるとすると、審査官の審査結果が無駄になってしまいます。
(e)こうしたことを防止するために、平成18年改正でシフト補正の禁止が規定されました。
A特許出願のシフト補正の禁止の内容
(a)特許法第17条の2第4項には、具体的に次のように規定されています。
“特許請求の範囲について補正をするときには、その補正を受ける前に受けた拒絶理由通知において特許を受けることができないものか否かについての判断が示された発明と、その補正後の特許請求の範囲に記載される事項により特定される発明とが、第37条の発明の単一性の要件を満たす一群に発明に該当するものとなるようにしなければならない。”
(ロ)例えば請求項1は新規性なし(STCもなし)、請求項2は進歩性なし(STFはあり)、請求項3は未審査であるという拒絶理由通知が出された場合に、請求項1〜2を削除して請求項3を残すことはできません。
(ハ)拒絶理由通知を受ける前には、こうした規制を受けずに補正することができます。
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