体系 |
外国の特許法・特許制度 |
用語 |
Grace periodとは(米国特許出願) |
意味 |
米国特許出願のGrace periodとは、米国特許出願人に対して保証される一定の猶予期間であって、発明の公表があった後一年の期間内に特許出願(米国出願であるかどうかは問わない)をした場合に、当該発表を先行技術と扱わないというものです。
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内容 |
①米国特許出願のGrace periodの意義
(a)かつての米国では先発明主義が採用されていましたので、発明を完成した後にその内容を発表しても、その発表から一定の期間内に特許出願をするときには、発明をしたこと及び日時を証明できることを条件として、patentを受けることができました。
(b)しかしながら、アメリカは2013年に先願主義に移行しました。同国では研究者が特許出願に先立って学会発表することが多いため、先願主義の移行に伴って新たなGrace periodの制度が採用されました。 →First Inventor to File systemとは
②米国特許出願のGrace periodの特色
(a)米国特許出願のGrace periodの第1の特色は、発明の発表から特許出願をできる期間が1年間であり、相対的に長いことです。
この種の猶予期間に関しては、6月の期間を採用している国が多いです。
(b)米国特許出願のGrace periodの第2の特色は、当該期間の上限が米国特許出願のeffective filing dateから遡って1年であることです。
→Effective filing dateとは
これは発表から1年以内にする特許出願が必ずしも米国出願である必要がないことを意味します。
例えば当該期間内にA国へ特許出願(イ)をし、これをパリ条約優先権の基礎として米国特許出願(ロ)をしても構わないのです。
③米国特許出願のGrace periodの効果
(a)Grace periodが適用されるときには、当該発明の発表は先行技術となりません。先行技術とはならないとは、それを根拠として新規性・進歩性(非自明性)違反で特許出願を拒絶できないということです。
(b)同様に発明者(後に特許出願人となる者)の発表により知得した情報を報道機関などが再発表しても、同様に先行技術とはなりません。
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留意点 |
真の発明者が発表した事項を他人が見て自分の創作と偽って特許出願(いわゆる冒認出願)をしたときには、Grace periodの制度では救済されません。これは日本などと同様です。
なお、米国は真の発明者を決定するというDeviation制度を導入していますので、これにより救済を求める途は残されています。
→Deviationとは(特許出願の)
もっともDeviationが特許出願人にとってどの程度のリスクがあるのか不明ですので、安易な利用はお勧めできませんが。
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