体系 |
外国の特許法・特許制度 |
用語 |
Provisional patent applicationとは(仮特許出願) |
意味 |
Provisional patent application(仮特許出願)とは、通常の特許出願に先立って出願日を確保することが可能な簡易な特許出願を言います。Provisional application for patent 或は単にProvisional application(仮出願)ということもあります。
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内容 |
①仮特許出願の意義
米国特許商標庁のHPの説明によると、仮特許出願の制度は外国からの特許出願人との公平性を担保するために設計されました。すなわち米国人が自国へ特許出願したときには、保護の終期は出願日から20年後となりますが、外国人は自国での特許出願に基づいてパリ条約優先権を主張して米国へ特許出願を行った場合、保護の終期は米国出願日から20年(自国への出願日から21年)経過後となります。これは不公平ではないか、ということで、本制度が導入されたのです。
②仮特許出願の利点
(a)仮特許出願は、後述のように簡易に行える手続であり、これにより、一定の開示内容に関して簡単に出願日を確保できるという利点があります。
(b)米国は、先発明主義からFirst Inventor to File systemという先願主義へ移行しました。その結果として、他人の特許出願に先立って早い出願日を確保することが重要となり、仮特許出願はその要請に答えるものとなったのです。
③仮特許出願の要件
通常の特許出願(Non-provisional patent application)では、請求の範囲・明細書・及び必要により図面を添付して行われ、かつそれらの書類は一定の様式に沿って作成される必要があります。これに対して、仮特許出願にはこうしたルールが適用されず、記載方法に自由度があります。
④仮特許出願の効果
(a)仮特許出願は、通常の意味での独占権付与の意思表示ではなく、開示した内容に関して特許出願の日を確保するという限定的な意味しかありません。
(b)仮特許出願の日から1年以内に通常の特許出願をしたときには、前者の出願日を後者に引き継ぐことができます。
(c)仮特許出願の日から1年間という期間は延長することができません。前述の通り、在外の特許出願人が享受する1年間のパリ条約優先権との公平を担保するための概念であり、延長しては逆に不公平となるからです。
(d)仮特許出願の出願日の利益を享受するために、通常の特許出願は、前者を特定する記載を含まなければなりません。
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留意点 |
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