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610 eBAY判決/特許の活用/特許出願 |
体系 |
ビジネス用語 |
用語 |
eBAY判決 |
定義 |
eBAY判決とは、米国において特許に基づく差し止めが認められるための条件を示した判決です(eBay v.
MercExchange事件)。
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内容 |
①eBAY判決の意義
(a)米国特許法第283条は、Permanent Injunction(終局的な差し押さえ、すなわち一時的でない差止のことをいいいます。以下単に「差し止め」といいいます)に関して、“各裁判所は、特許によって保障されている権利の侵害を防止するため、衡平の原則に従って、裁判所が合理的であると認める条件に基づいて差し止め命令を出すことができる。”と定めています。
(b)すなわち、特許出願をして漸く特許を取得しても、それにより、特許の活用方法として無条件で差し止め請求が認められるわけではないのです。
②eBAY判決の内容
(a)本判決は、差し止め請求が認められる条件として、次の4要件を挙げました。
(イ)回復不可能な損害(irreparable injury)が存在すること
(ロ)損害賠償等、法に基づく救済手段では救済が不十分であること
(ハ)両当事者に生ずる不利益のバランスがとれていること
(ニ)公共の利益が害されないこと
(b)上記の4要件を具備することは、原告である特許権者が証明する必要があります。
②特許出願業務等へのeBAY判決の影響
(a)米国では従来、特許出願人自ら発明を実施する予定がなく、専ら他人に対して権利行使をする目的で特許出願を行うケースがありました。発明の実施を行う通常の企業は、こうした特許出願人/特許権者をパテントトロールと呼び、脅威に感じていました。
(b)こうした特許権者にとっては、自ら実施しない(他人の侵害行為による損害を証明しにくい)ので、差し止め請求を武器として他人の事業活動を差し止めることが定石的な戦法です。
(c)eBAY判決が出たことで、差し止め請求権は行使しにくくなると考えられます。
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留意点 |
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