内容 |
@Peliminary Injunctionの意義
(a)差し押さえは、権利者の側からは特許の活用手段の一つですが、相手の立場からするとその事業活動を停止させる行為です。
(b)従って米国では、終局的なものにせよ、仮のものにせよ、差し押さえが認められるためのハードルは相当に高いです。
APeliminary Injunctionの内容
(a)判例によると、仮差押えの要件は次の通りです(→eBay判決とは)。
(イ)十分な成功の見込み(substantial likelihood of success)があること
(ロ)
耐え難い損害(irreparable damage)を被ること
(ハ)原告・被告双方の困窮程度の均衡(balance of hardship)を考慮すること
(ニ)差止めを行っても公益(public interest)が損なわれないこと
(b)因みに終局的な差押えの場合には、(イ)の代わりに損害賠償等の他の救済手段では救済が不十分であることという要件が課されます。
BPeliminary Injunctionの実例
仮差押えの申立が却下された事例を挙げます(Bianco v. Globus Medical)。
(イ)Bianco(原告)は神経外科開業医であり、Globus(被告)は株式非公開の大手医療機器会社でした。
(ロ)BiancoとGlobusは、Biancoが考案する医療器具のアイデアを共有しており、Globusはそれが商品化可能か否かを評価する契約を締結しました。
(ハ)Biancoは最小侵襲脊髄手術(minimally invasive spinal surgery)で使用する拡張性脊椎固定器具(expandable intervertebral fusion device)を発明し、開示しましたが、Globusは開発・商品化に興味を示しませんでした。
(ニ) Globus
は独自にCaliberと呼ばれる拡張性脊椎固定器具を積極的に開発しました。
(ホ) GlobusはCaliber器具に関する特許出願を行いましたが、Biancoを共同発明者として記載しないまま特許が許可されました。
(ヘ)Biancoは、Globusが発明開示からの秘密情報を当該特許発明(Bianco発明と同様の機能と特徴)に不正流用したと主張しました。
(ト)Biancoは「紛争前の原状に復する」ために予備的差止を申立しました。
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