体系 |
外国の特許法・特許制度 |
用語 |
Same-invention type(同一発明型)の重複特許のケーススタディ1 |
意味 |
“Same-invention type”(同一発明型)の重複特許とは、米国の特許出願実務でのダブルパテントの中核部分(同じ発明)に相当する態様です。
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内容 |
@Same-invention type(同一発明型)の重複特許の判断基準
(a)下記の何れかに該当するときには、このタイプの重複特許には該当しません。
(イ)審査対象である特許出願のクレームが、比較対象である特許或いは特許出願のクレームを侵害せずに文言侵害するものでないとき。
(ロ)ある実施例が審査対象である特許出願のクレームに属し、かつ対比対象である特許出願等のクレームに属しないとき
→Same-invention type(同一発明型)の重複特許とは
(b)しかしながら、米国においては、重複特許は実質的な特許権の存続期間の問題として捉えるのが一般的であり、Terminal disclaimer(特許権の存続期間の実質的な延長部分を放棄する旨の宣言)を行えば、この問題は一応回避できます。
(c)従って、発明の概念が共通しても特許の並存に合理的な説明がつくのであれば、同じ発明”しないと解釈する余地があります。こうした事例に関してケーススタディします。
A事例1
〔事件番号〕 784 F.2d 351 (Studiengesellschaft Kohle MBH Vs Northern Petrochemical Company)
〔判例の要旨〕
審査対象である特許出願のクレームが、比較対象である特許出願等のクレームとは異なる公的クラス(米国特許分類)に属し、それでも同じ発明概念に向けられている場合においては、両クレームは“same invention”(同じ発明)とは認められません。
〔事例の概要〕
(a)本件では、触媒及び触媒成分の製造方法が異なる発明と解釈されました。何故ならそれらのクレームが公的なクラスに属していたからです。
(b)触媒の製造方法及び触媒成分の製造方法は、それぞれ別の特許出願でカバーされていました。
(c)一般に法的な重複特許の問題は、クレームが異なる公的なクラスに属するときには発生しません。例えば同一の発明概念をカバーする方法のクレームと装置のクレームとは、別々の特許出願に含めることができる。
(d)こうした場合には、それらのクレームは別の公的なクラスに属するために法的な重複特許の問題は発生しません(※1)。
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留意点 |
(※1)…米国では特許出願のdouble patentingの問題には法的な重複特許と非法的な重複特許とがあります。従って、法的な重複特許にならないから問題が全て解決したとはならないことに留意するべきです。
→“Nonstatutory-type”(非法定型)の重複特許とは
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