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 パテントに関する専門用語
  

 No:  653   

発明の効果の追認1/進歩性審査基準/特許出願

 
体系 実体法
用語

発明の効果の追認のケーススタディ

意味  特許出願(又は実用新案登録出願)の出願当初の明細書に記載されていない発明は原則的に認められるべきではありませんが、特許出願時の技術常識に鑑みて発明の効果が追認される場合もあります。以下、そうした事例に関して説明します。


内容 [事件番号]
昭47(行ケ)18号

[判決言い渡し日]
昭和52年7月13日

[発明の名称]
極超短波用アンテナ

[主要論点]
発明の効果の追認

[発明の要旨]
 「波長に比べて極めて大きい開口を有するパラボラ反射鏡と、

このパラボラ反射鏡の前方に配置され十分小さい開口を有する双曲線形補助反射器と、

パラボラ反射鏡開口に比べて小さい開口を持ちパラボラ反射鏡の背面よりその頂点を通つて放射する一次放射器とを備え、

前記双曲線形補助反射器の曲率はパラボラ反射鏡の開口に少なくともほぼ平らな同位相波面が生ずるように定められたアンテナにおいて、

前記一次放射器はホーン型パラボラアンテナとして構成され、前記双曲線形補助反射器は一次放射器の近接放射界にあり、かつ、その開口は一次放射器の開口にほぼ等しいか、これより少し大きく選ばれていることを特徴とする極超短波用アンテナ」

[審決の理由]
本願考案は、その明細書及び図面の記載によつては極超短波用アンテナに関するものと認められるが、これが

補助反射器とパラボラ反射鏡頂点との間隔をレーリ間隔の二分の一ないし一倍にとることと、

補助反射器の口径をホーン型パラボラアンテナの口径にほぼ等しいか、もしくは少し大きくとること

の二つの条件を満足することによつて、具体的に如何なる効果が、如何なる理由によつて、如何なる程度生じるか明らかでなく、その考案の詳細な説明の記載は実用新案法第五条第三項の規定を充たしていないものと認められるから、本願は拒絶すべきものである。

[追認された発明の効果]
 一次放射器からの放射が補助放射器の側方に漏洩することは殆んどなく、一次放射器からの平行放射束の殆んどすべてが補助反射器に入射し、これに伴い、アンテナの効率及び放射ダイヤグラムが良好になる。

[裁判所の判断]
 本願につき優先権の基礎となるべき(特許出願の)最初の出願日以前に国立国会図書館に受入れられ、以後公衆の閲覧に供されている「スペース・エアノーテツクス・アール・アンド・デイー・ハンドブツク(一九六〇―一九六一)」には、レーリ間隔においてはアンテナからの放射が平行束をなし、これを超えるとその放射が拡散する旨が記載されている(D六ないしD一二ページ)ことが認められるから、これらの事実を併わせ考えると、パラボラアンテナの近接放射界あるいはレーリ間隔においてはアンテナからの放射が平行束となり、これを超えるとその放射が拡散することを含む近接放射界あるいはレーリ間隔そのものの技術内容は、本願考案の出願当時、当業技術者に周知であつたものと推認することができる。

 従って、本願考案において、双曲線形補助反射器が一次放射器たるホーン型パラボラアンテナの近接放射界にあることはホーン型パラボラアンテナの放射が平行束をなす領域内に双曲線形補助反射器が置かれることを意味するが、本願考案の要旨によると、右補助反射器の開口は一次放射器の開口にほぼ等しいか、これより少し大きく選ばれているものであるから、

 “一次放射器からの放射が補助放射器の側方に漏洩することは殆んどなく、一次放射器からの平行放射束の殆んどすべてが補助反射器に入射し、これに伴い、アンテナの効率及び放射ダイヤグラムが良好になる”効果が生じることが認められる。
発明の効果の追認とは


留意点

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