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652 発明の効果の追認/進歩性審査基準/特許出願 |
体系 |
実体法 |
用語 |
発明の効果の追認 |
意味 |
発明の効果の追認とは、特許出願時の明細書に記載されていない発明の効果を特許出願時の技術常識に基づいて裁判所等が追加的に認定することをいいます。
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内容 |
@発明の効果の追認の意義
(a)自然法則を利用した技術的思想の創作である発明は、発明の目的、発明の構成、発明の効果の3つから成り立ちます。
(b)この3つのうちで本質的に重要であるのは、課題(発明の目的)の解決手段である発明の構成でありますが、この発明の構成の技術的意義を理解するために、発明の効果も重要であります。
→発明の効果とは
(c)特許出願の審査において、“発明の効果として格段の意義が認められないので、発明の構成は単なる設計的事項に過ぎない”と審査官が判断することは良くあることです。発明の意義を説明するのは特許出願人の責任であり、当該責任が十分に果たされていない以上、審査官としては原則としてそのように判断せざるを得ないのです。
(d)しかしながら、特許出願時の出願書類に記載されていない発明の効果が特許出願人によって意見書等で主張された場合、その効果が特許出願の最初の出願書類(明細書・請求の範囲・図面)の記載と特許出願時の技術常識とを総合的に判断して、読み取れるときには、その発明の効果を否定するべきではありません。
(e)従って例外的ではありますが、発明の効果が追認される場合があります。
A発明の効果の追認の内容
(a)進歩性審査基準によれば先行技術の記載事項として、当該先行技術の記載自体の他に、記載されている事項が含まれます。特許出願時の技術常識を考慮しつつ、先行技術文献のいわば“行間を読む”ことで得られる情報です。
(b)発明の効果の追認もこれと同じ理屈であり、特許出願時の技術常識をベースとして特許出願時の明細書の行間から発明の効果を追加的に読み取ることができるかどうかの問題です。
(c)従って発明の効果の追認は、特許出願時の明細書等の記載と矛盾するものであってはなりません。
→発明の効果の追認のケーススタディ1
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留意点 |
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