内容 |
①刊行物の頒布時期の推定の意義
(a)新規性及び進歩性の判断の時期的基準は、特許出願の「時」であり、通常は、その日時を刊行物等に記載された頒布の日時と比較して、引用例とすることができるかどうかを審査官が判断します。
(b)しかしながら、刊行物中に当該文献の時期が例えば年、或いは月までしか表記されていない場合にどう取り扱うのかが問題であり、審査官毎に取り扱いが異なるようであれば、特許出願同士での公平性が損なわれます。
(c)そこで新規性・進歩性審査基準において、刊行物の頒布時期の推定が取り決められています。
(d)なお、この取り決めは“推定”ですので、当該刊行物が或る日時に頒布されたことを別の証拠で証明できれば、推定は覆ります。
②刊行物の頒布時期の推定の内容
(a)刊行物に発行時期が記載されている場合
(イ)発行の年のみが記載されているときには、その年の末日の終了時。
(ロ)発行の年月が記載されているときには、その年月の末日の終了時。
(ハ)発行の年月日まで記載されているときには、その年月日の終了時。
(b)刊行物に発行時期が記載されていない場合
(イ)外国刊行物で国内受入れの時期が判明しているときには、その受入れの時期から、発行国から国内受入れまでに要する通常の期間さかのぼった時期。
(ロ)その刊行物につき、書評、抜粋、カタログ等を掲載した他の刊行物があるときには、当該他の刊行物の発行時期から推定されるその刊行物の頒布時期
(ハ)その刊行物につき、重版又は再版があり、これに初版の発行時期が記載されているときには、その記載されている初版の発行時期。
(ホ)その他の適当な手掛かりがあるときには、その手掛かりから推定又は認定される頒布時期。
|