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 パテントに関する専門用語
  

 No:  714   

特許出願の拒絶理由(手続関係)/進歩性・他

 
体系 特許出願の種類
用語

特許出願の拒絶理由(手続関係)

意味  特許出願の拒絶理由は、特許庁の審査官・審判官が特許出願に関して出願を拒絶しなければならない法定の理由であり、手続的な要件に関する理由を含みます(特許法第49条第1項)。ここでは手続的な拒絶理由に関して説明します。


内容 @特許出願の手続的な拒絶理由の意義

(a)特許出願は、独占権付与の意思表示であり、その意思が手続的な制約により実現できないことがないように、特許出願人に対しては、手続上のさまざまな保護(出願書類の補正や一の特許出願で複数の発明の保護を求めることができることなど)が認められています。

(b)しかしながら、そうした保護規定の趣旨を逸脱して、特許出願人が不適切な手続をした場合には、他の特許出願人の利益を害したり、或いは特許庁の業務上の要請(多数の特許出願を効率的に処理するべき要請)に反するおそれがあります。

(c)また最初の特許出願自体が、発明の公開の代償として権利を付与するという趣旨に鑑みて、手続的に不適合である場合もあります。

(d)そこで不適正な手続きが行われた特許出願を拒絶できる理由に関して、特許法第49条に規定されています。


A特許出願の手続的な拒絶理由の内容

(a)特許出願の願書に添付した明細書・特許請求の範囲・図面についてした補正が当該特許出願の最初の開示事項の範囲を超えたものであってはならないというルール(新規事項の追加禁止)に違反していること(特許法第49条第1号)。

 特許出願の最初の開示事項を超えるいわゆる新規事項を含む発明に特許出願日の遡及的効果が認められることは、本来特許を受けることができた筈の他の特許出願人の利益を害することになります。従ってこうした瑕疵を含むことを特許出願の拒絶理由としています。
→新規事項の追加禁止とは(特許出願の拒絶理由)

(b)特許出願を補正したときに、補正前に特許を受けることができるか否かに関して拒絶理由通知で判断が示された発明と、補正後の特許請求の範囲により特定される発明とが単一性の要件を具備するものでなければならないというルール(単一性の要件の特則)に違反していること(特許法第49条第1号)。

 拒絶理由通知を受けた後に特許出願人が特許請求の範囲の内容を未審査の発明に置き換えると審査官の負担が著しく大きくなるからです。
シフト補正の禁止とは

(c)特許出願が特許を受けようとする発明をいわゆる当業者に実施できる程度に十分かつ明確に記載するべきというルール(いわゆる特許出願の実施可能要件)に反していること(特許法第49条4号)。

 発明の利用(実施)ができる程度に開示されていなければ、新規発明の公開の代償として特許出願人に独占排他権を付与するという特許制度の意義が失われるからです。
特許出願の実施可能要件とは

(d)特許出願が特許請求の範囲の所定の条件(特許を受けようとする発明が詳細な説明に記載されていること、当該発明が明確であること、請求項の記載が簡潔であること、所定の省令要件に適合すること)に反していること(特許法第49条第4号)。

(イ)発明が特許出願の明細書の詳細な説明に記載されていないものであるときには、前述の新規発明の公開の代償として独占排他権を付与するという趣旨に沿わないため、拒絶理由に挙げられています。
特許出願のサポート要件とは

(ロ)特許出願の請求項に係る発明が明確でないときには、特許権の保護範囲が明確に確定できないために拒絶理由に挙げられています。
特許出願の明確性要件とは

(ハ)特許出願の請求項が簡潔でないとき、例えば請求項の記載が過度に冗長であるときには、権利解釈の基礎としての役割を的確に果たすことができないために、拒絶理由に掲げられています。
特許出願の簡潔性要件とは

(ニ)特許出願の特許請求の範囲の要件のうち省令に委任されている事項に違反しているときには、例えば発明の技術的な意義が理解できないなどの理由により特許出願が拒絶されます。
→特許出願の委任省令要件とは

(e)特許出願が単一性の要件に適合していること(特許法第49条第4号)。

 一つの特許出願により保護を求めることができる発明の範囲には制限が課せられており、その制限を超えた場合には、拒絶理由に該当します。
発明の単一性とは

(f)特許出願が先行技術文献情報開示要件(文献公知発明であって特許出願人が当該出願時に知っていたものを明細書に記載しなければならないという要件)に適合していない旨の通知が行われた場合であって、当該特許出願の補正又は意見書の提出によっても同条の要件に適合しないこと(特許法第49条第5号)。

 特許出願の技術情報としての意義を高めるために、特許出願人が特許庁からの通知を受けてもなお前記開示要件に従わないときには、特許出願を拒絶することにしています。
特許出願の先行技術文献情報開示要件とは

(g)特許出願が外国語書面出願である場合において、当該特許出願の明細書・特許請求の範囲・図面に記載した事項が外国語書面に記載した範囲を超えていること(特許法第49条第6号)。

 外国語書面の誤訳などにより特許出願の最初の開示の範囲を超えて独占権が付与されることを防止するためです。


B特許出願の手続的な拒絶理由の法上の取り扱い

(a)該当するときには、特許出願が拒絶されます。

(b)また発明の単一性違反・シフト補正の禁止違反・省令要件違反・先行技術文献情報開示要件以外の事由は、特許の無効の理由ともなります。


留意点

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