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755 合理の原理/ライセンス契約/特許出願/ |
体系 |
外国の特許法・特許制度 |
用語 |
合理の原理(Rule of Reason) |
意味 |
合理の原理とは、米国において反トラスト法(日本で言う独占禁止法)の一つであるシャーマン法に関して、独占などの行為が違法であるかどうかは“取引を非合理的に拘束するか”(unreasonably
restrain trade)という観点から判断するという解釈であり、行為の目的や影響によらず当然に違法である(per sue
illegal)という解釈と対をなす概念です。
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内容 |
@合理の原理の意義
(a)反トラスト法の解釈として、例えば価格の固定化のように“それ自体(per
sue)”違法であると考えられるものと、物の独占のように行為の効果が取引を非合理的に拘束する場合にのみ違法と考えられるものとがあります。
(b)“Per
sue”ルールを全ての物事に適用すると、例えば特許出願は独占排他権の付与の意思表示ですから、独占禁止法違反の疑いがあるということになりかねず、そういう解釈は不適当だからです。
(c)合理の原理の考え方は古くから存在し、1899年のAddyston Pipe and Steel Co. v. United
States 事件の判決にみることができます。
(d)その他に合理の原理を採用した判例を紹介すると次の通りです。
“(モノポリーの禁止を定めた)シャーマン法の第2セクションは、単なるモノポリーの保有(mere possession of
monopoly)を禁止しているのではなく、非合理的なモノポリーの獲得及び維持を禁止しているのである。”
“United
States v. American Tobacco Co., 221 U.S. 106 (1911)”
A合理の原理の内容
(a)合理の原理は、具体的には、問題となった行為や制度が“競争を抑制する傾向”と“競争を促する傾向”とを比較して、前者が後者より大きいときには、反トラスト法違反をするという判断手法として現れます。
(b)合理の原理により、非合理に競争を拘束すると考えられる行為は特許濫用であるために反トラスト法に違反します。
→特許濫用(Patent misuse)とは
B特許法との関係
下記の行為が違法かどうかは合理の原理により判断されます。
・ライセンス契約を締結する際にライセンシーが使用を望む技術とそうでない技術とを“抱き合わせ”にして契約させる行為。
・発明の実施に関するライセンス契約の締結後に当該発明の改良技術の特許出願をライセンシーが行った場合に、当該特許出願により取得されたパテントをライセンサーに譲渡させることを義務付ける行為。
→Assign Back条項とは
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留意点 |
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