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@特許濫用(Patent misuse)の意義
たとえば特許権者が他人とライセンス契約を締結する際に第三者の製品を購入することを禁止するような行為が許されるのか、ということは20世紀のはじめから議論されていました。
初期の判例では、裁判所は、特許濫用の禁止の原則を十分に認識していませんでした。
しかしながら、Bauer & Cie v.
O’Donnell 事件〔229.U.S.1
(1913)〕)では、最高裁判所は特許濫用を禁ずる態度へと方向転換を開始しました。“特許権者は、ライセンス契約により特許品の製造・使用・販売をコントロールできるが、一度譲渡された特許品の再販売の価格をコントロールするためにライセンス契約を使用するべきではない。”という考え方が示されたのです。
さらにMotion Picture Patents Co. v Universal Film Mfg. Co.,事件〔243
U.S.502(1917)〕において最高裁判所は特許濫用の概念を確立させました。
“特許されたフィルムプロジェクターを特許権者が認めたフィルムのスクリーニングにのみ用いることはunenforceable(強制不可能)であり、特許濫用である。”と判示したのです。
A特許濫用(Patent misuse)の内容
特許濫用は、反トラスト法違反の行為の他、特許権の本来の保護範囲を超えて権利を行使しようとする場合にも成立します。例えば次の通りです。
(a)本来の特許権の存続期間(現行では特許出願の日から20年間)を超えて排他的権利を行使しようとすること。
(b)本来の特許権の技術的範囲を超えて排他的権利を行使しようとすること。
B日本での特許権の権利の濫用に関しては下記を参照して下さい。 →権利の濫用とは
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