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769 技術の促進/特許出願(米国)/特許制度 |
体系 |
外国の特許法・特許制度 |
用語 |
有用な技術の促進(米国特許法) |
意味 |
科学の進歩及び有用な技術の促進(Progess of Science and
Useful art)は、米国の特許制度の目的の一つとして憲法に規定されています。
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内容 |
@科学の進歩の意義
(a)米国合衆国憲法第1条第8項第8号には次の内容が規定されています。
議会は、次のことに関して権限を有する。…
著作者又は発明者に対して一定の期間に限り(for limited times)著作者及び発明者に対して(to authors and
inventors)、その著作物及び発見について(to their respective writings and
discoveries)の独占的な権利を付与することにより、科学の進歩及び有用な技術の促進(Progess of Science and
Useful art)を図ること。
(b)米国の特許制度は1790年代からスタートしましたが、その当初から“科学の進歩及び有用な技術の促進”を目的に掲げていた点は注目に値します。
(c)アメリカ合衆国は、13の州国家が集まって成立した連邦国家ですが、アメリカの建国までに全ての州で特許を認めていました。各州毎に特許出願をして権利を取得しなければならないために、大きな問題となっていました。
(d)従ってアメリカ全州に亘って機能する特許制度を採用する必要がありました。
(e)米国は、法制度の多くを英国から承継しています。英国を含めた当時の多くの国と特許は、王室特権として与えられるものであり、それは科学や技術の開発よりも商業的な面に関係するものでした。代表的なものは、外国の新技術をいち早く導入したものに与えられる輸入特許です。
→輸入特許(Importation Patent)とは
しかしながら、こうした古いタイプの特許には多くの問題点があり、当時から批判されていました。
(f)アメリカ合衆国の特許制度は、独占排他権の付与を“科学の進歩及び有用な技術の促進”へのインセンティブとして用いるという点で新しい制度であったのです。
→インセンティブ理論とは(特許の)
A科学の進歩の内容
(a)米国の従来の特許制度は、“科学の進歩及び有用な技術の促進”を謳いつつ発明者の権利を重要視して、分割出願や継続出願という特殊な特許出願を繰り返して公開の時期を遅らせるサブマリン特許の問題を生じていました。
→サブマリン特許とは
(b)こうした不都合を回避するために、1990年の法律改正により特許出願の時から一定期間経過後に特許出願の内容を強制的に公開する出願公開制度が導入されました。
B我国の特許法
→我国の特許法は「発明の保護と利用」とを図ることを目的規定(1条)に掲げていますが、これは技術の進歩を通じて産業の発達を図ることを意味しています。
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留意点 |
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