内容 |
@間接事実
例えば特許出願の進歩性の判断において、特許出願人の発明品が商業的に大成功しているときには、その成功が技術的優位性以外の事柄に起因する場合を除いて、創作の困難性を推認する参考材料となります。それほど成功するのであれば、容易に発明できるものであれば特許出願人以外の誰かが既に実施していたのではないか、と経験則上の推定が働くからです。
→経験則とは
A間接事実の具体的事例
(a)事例1〔真に特許を受ける権利を有する特許出願人であることの間接事実〕
事件番号 平成25年(ワ)第14849号「液晶表示装置」事件
“ 特許法123条1項6号所定の冒認出願において、特許出願がその特許にかかる発明の発明者自身又は発明者から特許を受ける権利を承継した者によりされたことの主張立証責任は、特許権者が負担すると解するのが相当である。
もっとも、(中略)全ての事案において、特許権者が発明の経緯等を個別的・具体的に主張立証しなければならないことを意味するものではなく、むしろ、先に特許出願したという事実は、特許出願人が発明者又は発明者から特許を受ける権利を承継した者であるとの事実を推認する重要な間接事実であると解される。”
(b)事例2〔特許侵害−間接侵害に関する「他の用途」の存在に関する間接事実〕
事件番号 平成8年(ワ)第2766号「五相ステッピングモータの駆動方法」事件
“ある物が特許発明の「実施にのみ使用する物」である〔(旧)特許法一〇一条二号〕というためには、他の用途すなわち特許発明の実施以外の用途がないことを要する(中略)。特許発明の実施以外の用途があるか否かということは、単純な事実問題であって高度の法律的・技術的判断を要するわけでもないのに、このような長期間、本件特許発明の実施以外の用途の存在を主張してこなかったことは、被告自身、問題となる被告製品が本件特許発明の方法でスター結線した五相ステッピングモータを四ー五相励磁して駆動させることにのみ使用するものであることを前提としていたことを窺わせる間接事実といえる。”
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