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792 用途発明と物の内的属性/進歩性審査基準/特許出願 |
体系 |
実体法 |
用語 |
用途発明と物の内的属性 |
意味 |
用途発明とは、或る物の未知の属性を発見し、この属性により、当該物が新たな用途への使用に適することを見い出すことに基づく発明をいいます(進歩性審査基準)。
他方、物の属性には、物自体が特定されるとそれを観察することで把握できるタイプのもの(ここでは内的属性といいます)があり、この種の属性と用途発明との関係を解説します。
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内容 |
@用途発明における内的属性の意義
(a)この種の属性は、素材である物の粘性や粒度などの如く、物が公知となった時点で技術者が試験することで知り得る情報であることが通常です。
(b)こうした属性は、特許出願の時点でその物に関する属性として記載した刊行物がたまたま見当たらなかったとしても、未知の属性と認められない可能性があるので、注意が必要です。
(c)なぜなら新規性の規定(特許法第29条第1項第3号)の解釈上、“刊行物に記載されている事項から本願出願時における技術常識を参酌することにより導き出せる事項”は、刊行物に記載されているに等しい事項として新規性を否定する根拠となるからです(新規性進歩性審査基準)。
(d)こうした事情から、用途発明の特許は素材や化学の特許出願において多く成立し、機械類の特許出願では成立し難いと言われます。
→用途発明と機械類について
A特許出願における内的属性の取り扱い
(a)従って新規な物の発明の特許出願をした後に追加試験・追加実験で新たな属性を発見する場合には、その物が公開される前(特に先の特許出願に関して出願公開が行われる前に、用途発明に関して別途特許出願をすることを検討することが奨励されます。
(b)例えば物質発明の発明では少なくとも一つの用途が発見されれば技術としての有用性が認められるので(→未完成発明とは)、物質発明の発明後の早い段階で取り敢えず判明している用途を明細書に記載して特許出願をしたけれども、その後の研究・調査でより有益な用途が発見されたような場合が想定されます。
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留意点 |
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