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 パテントに関する専門用語
  

 No:  797   

用途発明C2/進歩性審査基準/新規性/特許出願

 
体系 実体法
用語

用途発明のケーススタディ2(用途の選び方)

意義  用途発明は、或る物の未知の属性を発見し、この属性により、当該物が新たな用途への使用に適することを見い出すことに基づく発明です(進歩性審査基準)。

 特許出願人は未知の属性からどのような用途に用いるかを決定しなければならず、用途の選び方次第で先行発明に対して新規性・進歩性が主張できなくなる場合があることに留意しなければなりません。


内容 @用途発明の特許出願における用途の設定の意義

(a)用途発明の創作の中心は新たな用途を決めることにあります。

(b)一定の旨みを有する食材から旨み成分を見い出すのは単なる“発見”に過ぎず、特許法の保護対象ではありません。

(c)“その旨み成分を主成分にする旨み調味料”、或いは、“その旨み成分を食品に添加するという調理方法”を創り出すことにより、創作的価値が加わり、発明となります。創作価値として加えられた〔+α〕がどんなに小さくとも、発見と発明とに間には法律的に明瞭な差異があります。

(d)逆にいうと、創作的価値として加わる〔+α〕は、通常ごく小さいものであるために、用途の選び方が用途発明の特許出願の結果に直結する場合があります。

(e)下記の事例は、白金微粉末が各種疾病(癌・糖尿病など)に関与するスーパーオキサイドアニオンを分解する属性を発見し、その物の作用に“剤”という用語を付して発明の名称としたのですが、それだけでは新規性を認めるに至らないと判断されたケースです。

A事例の紹介

〔事例1〕

事件番号:平成22年(行ケ)第10256号

事件の種類:審決取消訴訟(無効審判請求棄却→審決取消)

事件の論点:用途発明の新規性。

本件発明の名称:スーパーオキサイドアニオン分解剤

〔本件発明の内容〕

「A ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、シクロデキストリン、アミノペクチン、又はメチルセルロースの存在下で

B 金属塩還元反応法により調整され、

C 顕微鏡下で観察した場合に粒径が6nm以下の白金の微粉末からなる

D スーパーオキサイドアニオン分解剤。」(請求の範囲)

〔引用発明の内容〕

 引用文献には、構成AないしCに該当する白金微粉末は、ガン、糖尿病、アトピー性皮膚炎などの予防又は治療に有効であると期待されていること、そのような効果を期待して、水溶液として、体内に投与する方法が示されていることが記載され、白金微粉末がスーパーオキサイドアニオンを分解する作用が明示的形式的に記載されていないものの、従来技術の下においても、白金微粉末を上記のような方法で用いれば、スーパーオキサイドアニオンが分解されることは明らかであり、白金微粉末によりスーパーオキサイドアニオンが分解されるという属性に基づく方法が利用されたものと合理的に理解されます。

〔裁判所の判断〕

(a)本件特許発明における白金微粉末を「スーパーオキサイドアニオン分解剤」としての用途に用いるという技術は、甲1において記載、開示されていた、白金微粉末を用いた方法(用途)と実質的に何ら相違はなく、新規な方法(用途)とはいえないのであって、せいぜい、白金微粉末に備わった上記の性質を、構成Dとして付加したにすぎないといえる。すなわち、構成Dは、白金微粉末の使用方法として、従来技術において行われていた方法(用途)とは相違する新規の高度な創作的な方法(用途)の提示とはいえない。

(b)これに対し、被告は、本件発明は、白金微粉末における、新たに発見した属性に基づいて、同微粉末を「剤」として用いるものである以上、新規性を有すると主張する。

(c)しかし、確かに、一般論としては、既知の物質であったとしても、その属性を発見し、新たな方法(用途)を示すことにより物の発明が成立する余地がある点は否定されないが、本件においては、新規の方法(用途)として主張する技術構成は、従来技術と同一又は重複する方法(用途)にすぎないから、被告の上記主張は、採用の限りでない。


留意点

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