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 パテントに関する専門用語
  

 No:  811   

意見書の意味/特許出願/禁反言

 
体系 特許出願の審査
用語

意見書の意味とは(特許出願の場合)

意味  意見書とは、特許出願人が拒絶理由通知に掲げた拒絶理由に対して反論するための書面であり、特許出願人及び第三者にとってそれぞれ意味合いが異なります。


内容 @特許出願人にとっての意見書の意味

(a)特許出願人が意見書を提出するのは、当該特許出願に対して拒絶理由通知が出された場合です。

(b)拒絶理由通知書に承服する場合、例えば請求項1は新規性・進歩性がないが、請求項2には拒絶理由が存在しないという場合に、補正書で請求項2を削除するだけでも十分ですが、念のために意見書において“拒絶理由通知書において請求項1〜2のうち請求項1の新規性(或は進歩性)が否定されましたので、請求項1を削除して請求項2を新たな請求項1としました。”というように記載します。補正書の意味合いを明確にする場合です。

 この場合に、“請求項1に特許性がないというご指摘に承服して”のようなことを記載する必要はありません。

 当該特許出願の保護範囲から外した請求項1を後に分割出願しようとする場合があるかも知れないし、そのことを後の特許訴訟で第三者が利用しようとするかもしれません。

 特許出願人が元の請求項1を削除した理由は反論の余地がないと考えたかも知れないし、反論の余地はあるが請求項1を権利化する必要はなくなったからかもしれません。

 拒絶理由通知で新規性・進歩性がないとされた請求項を特許出願人が放棄した場合には、包袋禁反言の原則が適用されるのが通常ですが、わざわざそれを特許出願人が認める必要はないのです。
包袋禁反言の原則とは

(b)拒絶理由通知に承服しない場合には、特許請求の範囲の発明の記載或いは引用文献の記載の事実認定の誤りや法律解釈の誤りを指摘します。

 審査官はときに強引な論理で関係性の薄い先行技術に挙げてくる場合があります。

 例えば「芝生の密度、均一性及び緑度を改良するためのフタロシアニンの使用方法」という特許出願に関して、着色剤としての用途を開示した文献を引用した事例があります。

 緑度の改善というのは芝生が青々とした状態を保つことを意味するのであって、緑色に着色するのとは技術的な意味が違うというというべきです。
→用途発明のケーススタディ4(用途の相違)

A第三者にとっての意見書での意味

 第三者にとっては、特許出願人が意見書で記載した事項は、特許発明への均等論の適用を規制するために重要な意義を有します。

 何故なら前述の禁反言(正しくは包袋禁反言)の原則により、特許出願人が審査で行った主張と矛盾する権利解釈は禁止されるからです。

 例えば拒絶理由通知書で発明の構成要件A+B+Cのうちで要件A、B、Cの全てが引用発明と一致すると記載されており、これに対して特許出願人が“A、Bの一致は認めるが、Cは異なる。”と反論して特許を受けたとします。その場合に、後日要件Cを開示した別の先行技術文献が発見された場合に、特許権者が“実はBに関しても異なる。”と主張しても特許出願の段階での主張の異なると反撃されるのです。

 特許出願の段階での主張のうちで“A、Bの一致は認めるが”の部分が余分であり、“審査官は、要件A、B、Cの全てが異なると主張しているが、少なくともCは異なる。”という言い方をするべきだったのです。

 従って第三者は意見書の記載のうちこうしたことを記載している箇所を探して訴訟での材料とすることができます。


留意点

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