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812 特許出願のパテントファミリー/禁反言 |
体系 |
外国の特許法・特許制度 |
用語 |
パテントファミリーとは(特許出願の) |
意味 |
特許出願のパテントファミリーとは、同一の特許出願に由来して各国で権利化された一群の発明をいいます。
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内容 |
@特許出願のパテントファミリーの意義
(a)特許の世界では属地主義が支配しているため、同一の発明に関して複数の国で保護を受けるためには各国毎に特許出願をして保護を受ける必要があります。
→属地主義とは
(b)複数の国に特許出願をする場合には、まず一か国(通常は特許出願人の居住国或いは国籍国)に特許出願をして、次にパリ条約優先権を主張して他の一国又は複数国へ特許出願をするという手順を踏むのが一般的です。
→パリ条約優先権とは
そうすることで、優先期間の利益を享受しつつ複数の国の言語・方式に対応した特許出願の準備を進めることができるからです。
(c)こうした一連の特許出願により各国に成立した権利を、パテントファミリー或いは特許ファミリーと呼びます。
A特許出願のパテントファミリーの内容
(a)保護の独立性と無効手続対応
(イ)パリ条約第4条の2に定める特許独立の原則により“同一の発明に関して各国で出願した特許は独立のものである。”とされています。
(ロ)これは一か国に出願した特許が無効となることにより、他国の特許が無効となることはないという意味です。
(ハ)しかしながら、一か国で出願した特許が無効となった理由を調べて、それが新規性や進歩性の欠如である場合には、その新規性や進歩性欠如の根拠となった文献を、他国の特許を無効とする手続(日本でいう無効審判)に利用したり、他国の特許出願を拒絶とするための手続(日本でいう情報提供)に利用することは合法です。
(ニ)従って特許無効審判などでは対象とする特許のパテントファミリーの状況も調べることが奨励されます。
(b)特許出願人の情報提供義務
米国では、米国特許出願の情報提供義務に関して、外国での対応特許出願(パテントファミリーになる前の一連の特許出願)の審査で判明した先行技術も提供することを要求しています。
そうした要求に応えられるように準備しておく必要があります。
(c)禁反言(エスペットル)
これも米国の話ですが、米国の裁判所ではいわゆる禁反言の原則の適用上、対応特許出願の審査段階で特許出願人が意見書などで陳述した事実も適用対象となり得ますので、注意が必要です。
なお、禁反言というと、例えば捺印証書禁反言、記録による禁反言など様々な種類がありますが(→捺印証書禁反言とは)、ここでいう禁反言とは、包袋禁反言の原則を指します(→包袋禁反言の原則とは)。
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留意点 |
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