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914 裁定実施権/特許出願/通常実施権/利用発明 |
体系 |
権利内容 |
用語 |
裁定実施権 |
意味 |
裁定実施権とは、不実施の場合の通常実施権、自己の特許発明の実施をするための通常実施権、及び、公共の利益のための通常実施権の三種をいいます。
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内容 |
@裁定実施権の意義
通常実施権は、債権的権利であり、特許権者は通常実施権を許諾した範囲で自ら重畳的に実施することができます。発明は無体の財産ですので、実施をする者の資本力如何により、当該発明から得られる利益が大きく左右され、それは特許権者の事業にも影響を与えます。従って特許権者にとってライセンス契約の相手方を選択する自由は重要な意味があります。
しかしながら、特許権者本人が特許発明を実施しないとき、他人の優れた利用発明の実施を図る必要があるとき、或いは公共の利益のために必要であるときにまで、通常実施権の許諾の是非を特許権者に委ねると、発明の利用を通じて産業の発達を図る特許制度の趣旨に悖ることになります。そこで裁定通常実施権の制度が採用されました。
A裁定実施権の内容
(a)不実施の場合の裁定実施権(特許法第83条)
特許発明の実施が継続して三年以上日本国内において適当にされておらず、その特許発明の実施をしようとする者が、特許権者又は専用実施権者に対し通常実施権の許諾について協議を求めても協議が成立しないときに、特許庁長官の裁定により成立する権利です。
特許権者が特許発明を実施せず、かつ他人にも実施許諾をしないということは、前述の特許制度の趣旨からして許されるべきでないからです。
但し、その特許発明に係る特許出願の日から四年を経過していないときは、この限りではありません。
特許出願から4年を経過していない状況では、特許権者自身の実施が期待できない状況に至っていないからです。
→不実施の場合の通常実施権の裁定制度とは
(b)自己の特許発明を実施するための裁定実施権(特許法第92条)
特許権者又は専用実施権者の特許発明が第72条に規定する場合(利用関係・抵触関係)に該当し、他人(先願特許権者)との通常実施権の許諾についての協議が成立しないときに、特許庁長官の裁定により成立する権利です。
既存の他人の特許発明を利用した改良発明などを特許出願することは元より適法であり、こうした特許出願に特許が付与されたときには、有用な利用発明が実施されずに埋もれてしまうことを防ぐ必要があるからです。
→利用発明等を実施するための裁定制度とは
(c)公共の利益のための裁定実施権(特許法第93条)
特許発明の実施が公共の利益のため特に必要であり、その特許発明の実施をしようとする者が通常実施権の許諾について協議を求めても協議不成立である場合に、通商産業大臣の裁定により成立する権利です。
ガス漏れ防止に関する技術に関してときょ →公共の利益のための通常実施権の裁定制度とは
(d)裁定実施権の設定のための手続に関しては下記を参照して下さい。 →裁定制度とは(通常実施権の設定の)
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留意点 |
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