内容 |
①法律行為の意義
私的自治の原則の下では、法律関係の形成が当事者の意思に委ねられます。しかしながら、その法律関係が形成される形態としては、
譲渡(例えば特許出願人が自己の発明に関する権利-特許を受ける権利-を他人に譲渡したいと望む場合)のように、特定の法律効果が称することを意図する場合と、
発明行為自体の如く、行為者の意図(新しい技術を生み出そうとする意思)と行為の効果(特許を受ける権利の発生)とが必ずしも一致していない場合(特定の意思が存在しない場合を含む)と
があります。
そこで法律関係の形成を前記意思に基づいて体系化するために、前者の行為を法律行為と呼び、後者の行為を事実行為としました。
→事実行為とは
②法律行為の内容
(a)法律行為には、私人に対する意思による私法上の行為の他に、国家に対する意思(例)による公法上の行為も含まれます。
前者の例としては、特許出願中であれば、出願人が他人に対して仮専用実施権を設定し、或いは仮通常実施権を許諾すること、後者の例としては、特許出願は国家に対して独占排他権の付与を請求する意思の表示である特許出願がそれぞれ相当します。
(b)法律行為の態様としては、単独行為・契約・合同行為があります。
単独行為とは、一方的な意思表示により成立する法律行為です。例えば、複数人が共同で特許出願したときにそのうちの一人が特許を受ける権利の持分を放棄する如くです。この場合、例えば甲・乙・丙が共同で特許出願をして各人の特許を受ける権利の持分が1/3であれば、丙が持分を放棄することで、甲・乙の持分が1/2に増加します。
→単独行為とは
契約とは、当事者同士の合意により成立する法律行為です。特許出願人が自己の特許を受ける権利を他人に譲渡する行為が該当します。前述の共同出願の例で言えば、特許を受ける権利の共有関係から離脱しようとする丙は、自己の持分をそっくり甲に譲渡することもでき(この場合の持分は甲が2/3、乙が1/3となります)、また自己の持分をさらに2分割して甲・乙に均等に譲渡することもできます。後者の場合には、特許を受ける権利の持分を放棄したのと同じ結果になります。
合同行為とは、複数人が共同で行う法律行為です。 →合同行為とは
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