内容 |
@裁判上の自白の効果の意義
(a)裁判上の自白があったときには、裁判所に対する拘束力及び自白者に対する拘束力が生じます。
(b)裁判所に対する拘束力
自白された主要事実、すなわち、当事者間に争いのない主要事実は、そのまま裁判の基礎にしなければならない(民事訴訟法第179条)
(c)自白者に対する拘束力
自白者は、任意に自白を撤回することができません。
自白により有利は判決を得ることを期待する相手方の期待を保護し、審理の円滑な遂行を可能とするためです。
(d)自白の撤回が認められるのは次の場合に限られます。
・相手側の同意を得た場合
・自白した内容が真実でなく、かつ自白が錯誤によるものと証明した場合
(e)自白の拘束力が生ずるのは主要事実についての自白に限られます。 →主要事実とは
(f)裁判上の自白の態様としては、一方当事者甲が陳述した自分に不利な事柄を、他方当事者乙が有利に援用する場合があります。いわゆる先行自白の場合です(→先行自白とは)。
この場合には、相手方の当事者がその自白を有利に援用することにより、自白の効果が生じます。
何故なら弁論主義の下では、裁判所は当事者に争いのない事柄について真偽を確認することなく認定できるからです。
A裁判上の自白の効果の意義
(a)特許侵害訴訟において、“特許出願の係属中にもともと要素“A+B+C+D+E”からなる発明を要素“A+B+C+D+e”からなる発明(eはE)の下位概念とする)に補正したのは、先行技術を回避するためであった。”と原告(特許検者)が陳述したとします。
仮に被告が“審査段階で特許出願人が要件Eを下位概念eに限定したことにより、Eの概念に含まれる事柄の中e以外の部分は放棄されたのであり、特許出願人が意図的に放棄した事柄に対して均等論を適用するのは、禁反言の原則から許されない。”と主張していたとすれば、前述の陳述は自白となる可能性があり、そうなると、裁判所に対して拘束力が生じます。
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