体系 |
権利内容 |
用語 |
反訴 |
意味 |
反訴とは、訴訟中に被告から原告を相手として本訴との併合審理を求めて提起する訴えを言います(民事訴訟法第146条)。
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内容 |
@反訴の意義
(a)甲から乙を被告とする訴えが提起され、その訴訟中に乙から甲を相手方とする訴えが提起されるときに、甲の訴えを本訴といい、これに対して乙の訴えを反訴と言います。
→本訴とは
例えば甲の運転する自動車に乙の運転する自動車が衝突し、甲が乙を被告として損害賠償請求訴訟を提起し、その訴訟中に乙がその事故の原因は甲の運転にあったとして甲を相手方とする損害賠償請求(反訴請求)を提起するという如くです。
(b)反訴のメリットとしては、次のことが挙げられます。
・実質的には同じ紛争が別々の裁判により扱われると、矛盾した判決が出てしまう可能性があるので、これを回避する意味がある。
・仮に矛盾した判決が出ないとしても、実質的に同じ紛争に関して審理が重複することがないので、裁判所にとっても当事者にとっても効率が良く、訴訟経済に資する。
→訴訟経済とは
(c)反訴は、既に提起されている訴訟が存在し、その訴訟と当事者が同じであることを必要としますが、それだけでは足りず、攻撃防御方法の共通性がなければなりません。
→攻撃防御法方法とは
例えば甲が乙の製造・販売する製品は甲の特許権と抵触するとして特許侵害訴訟を提起し、これに対して乙が甲の製品こそ乙の特許権を抵触するとして特許侵害訴訟を提起するという場合には、反訴の対象とはならないので、別訴するべきです(→別訴とは)。それぞれの特許権の侵害要件は無関係であり、まとめて審理をする意味がないからです。
A反訴の内容
(a)反訴の時期(民事訴訟法第146条)。
反訴ができる期間は、原則として、事実審(第一審又は控訴審)の口頭弁論の終結前に提起しなければなりません。むやみに審理が遅滞することは避けなければならないからです。
→事実審とは
控訴審で反訴するためには、相手方の同意を得るか、或いは、相手方が異議を申し立てないことが必要です。
(b)反訴請求の関連性要件(同条)
反訴として提起できる請求は、原則として、本訴の請求又はこれに対する防御方法に関するものに限られます。
・例えば特許侵害に基づく損害賠償請求が請求された場合に、反訴請求として先使用権の存在の確認を求めることができます。
先使用権とは、特許出願前に当該出願の内容を知らないで自分の発明をした者又はその者から発明を知得した者が当該特許出願前から発明の実施・準備をしていたときに認められる抗弁権です。
・また発明の着想を得た者甲と甲からの指示で着想を具体化した者乙との間で誰か真の発明者であるかで意見が分かれる場合に、乙が単独で発明の特許出願をして甲との間に争いを生じ、甲が当該発明について特許を受ける権利が甲に属することの確認判決を求めて訴訟を提起し、その訴訟中に特許を受ける権利が乙に属することを求めて反訴請求をするということが考えられます。
→真の発明者のケーススタディ
(c)反訴は、英米法に言う“counterclaim”に該当する概念です。
→カウンタークレーム(counterclaim)とは
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